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内容説明
大日本帝国において、天皇は軍事を統帥する大元帥であった。では、天皇は軍部からどのような情報を得て、それに対してどのような質問や意見を発していたのか。また、国策・戦略・作戦の決定に際して、どれほどの役割を果たしていたのか。史料から浮かび上がってくるのは、大元帥としての自覚と責任感を持ち、主体的に戦争指導を行っていた天皇の姿である。その軍事知識は豊富で、非凡な戦略眼によって統帥部の戦略・作戦の欠陥を鋭く指摘することもあった。昭和天皇の戦争指導の実像を描き、その戦争責任を検証する。
目次
まえがき
第Ⅰ章 大元帥への道
1 軍人としての昭和天皇の生い立ち
2 大元帥としての自覚──摂政時代の転換
3 大元帥としての天皇の役割
第Ⅱ章 大陸への膨張と昭和天皇
一 代替わり=大元帥・昭和天皇の誕生
1 大元帥の誕生と大礼特別観兵式
2 張作霖爆殺と田中義一内閣の崩壊
二 満州事変、二・二六事件と天皇
1 満州事変と天皇
2 二・二六事件と天皇の怒り
三 日中全面戦争と大本営の設置
1 日中戦争の全面化
2 最高統帥機関としての大本営の設置
3 国策決定のための御前会議
4 天皇の「御下問」「御言葉」の効き目
四 南進・膨張戦略と天皇
1 日中戦争の泥沼化
2 天皇の下問による「昭和十四年度帝国海軍作戦計画」の変更
3 仏印進駐・日タイ軍事協定問題
4 南部仏印進駐・関特演
第Ⅲ章 アジア太平洋戦争における天皇の戦争指導
一 開戦決定と天皇とのかかわり
1 開戦に躊躇する昭和天皇
2 九月六日の御前会議
3 統帥部の説得と天皇の開戦論への傾斜
4 天皇の意思を尊重しようとした東條英機
二 天皇による積極作戦の要求
1 諸戦の戦況と戦争指導方針の転換
2 フィリピン戦にたいする天皇の作戦督促
3 占領地行政・外交・作戦、多岐に及ぶ天皇の発言
4 ミッドウェー海戦の敗北
5 ドイツに幻惑された再度の戦略転換
三 ソロモン・ニューギニアをめぐる激戦
1 ガダルカナル島攻防戦と天皇の督戦
2 東部ニューギニアと中部ソロモン諸島をめぐる攻防戦
四 天皇による決戦の要求
1 アッツ島の玉砕と天皇の決戦要求
2 ソロモンでの海上決戦の要求
3 攻勢防御論への転換=「絶対国防圏」の設定
第Ⅳ章 敗戦と天皇
一 戦況の悪化を憂慮する天皇
1 戦力格差の広がりと戦争指導方針の動揺
2 東條英機への天皇の信任
3 サイパン決戦
二 戦況上奏の実態
1 統帥部による天皇への戦況報告
2 台湾沖航空戦における幻の「大戦果」
3 フィリピン沖海戦における大損害
三 本土決戦方針と聖断シナリオ
1 決戦後講和論への執着
2 聖断シナリオの形成と発動
3 占領と天皇
あとがき──昭和戦争史に果たした天皇の役割とその戦争責任
ちくま学芸文庫版あとがき
昭和天皇の主要軍務年表
付表1 陸軍統帥部による天皇への作戦上奏
付表2 海軍統帥部による上奏(一九四四年)一〇月~一二月
参考文献一覧
解説 茶谷誠一
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