内容説明
本書は「宗教学」の本ではありません!
各宗教勢力が互いにどのように攻防し、侵食し、拡散し、あるいは均衡を保ったか、その戦略・戦史から世界の成り立ちをつかむ、まったく新しい「宗教地政学」の本です。
人に救いを与える宗教には、一方で「他者を自己に従属させる精神侵食のツール」という本質があります。
宗教覇権の攻防を読み進むうちに、今日の国際情勢を本質からつかむ視座が得られます。
なぜインドは多くの宗教の発祥地になったのか。アフリカや中南米諸国にカトリックが多いのはなぜか。
本書は世界を4つの宗教エリアで捉え、各宗教勢力の攻防のドラマを追いながら、現在の世界の国々の関係性や文化的背景、国民性を浮き彫りにしていきます。
好評『「民族」で読み解く世界史』『「王室」で読み解く世界史』の姉妹編です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みき
50
世界史に宗教という横軸をいれて読み解くというコンセプト。キリスト教史などは学校の授業である程度習うので何となく理解している人も多いと思うが東南アジアや極東アジアの宗教史などは知らない人も多いのではないだろうか。また宗教は為政者による工作と支配のツールにすぎないとする点も自分好み。個人的にはもう少しイスラム教と東南アジアの宗教史について記載が欲しかった。特にイスラム教はなぜ過激化するのか、なぜ信者が増え続けているのかという点には明確な答えがなかったように見える。2024/02/05
はる坊
13
各国が宗教をどのように利用し、支配してきたのか。 また何故その宗教が利用されたのかを、地政学的な観点から読み解く実用的な世界史論。 4地域に区切って、その宗教が主流となった流れが非常に分かりやすく書かれている。 宗教を人々の幸せのためと捉えるのではなく、国の統治のためのリアリズムに基づくためと考えることで、現代の国際問題がすんなりとわかる。2020/09/27
けんさん
5
先に読んだ『「民族」で読み解く世界史』と比べて、具体的な出来事の記述が多いため、いきなりこの本から読み始めるとハードルが高いかも。 『民族』→『世界史概要』→『宗教』の順で、何度か繰り返して読むと理解が深まりそう。本書、他の世界史概要本を読んだ後に再読することに決定!2021/04/18
たぐ
2
宗教と歴史の関係がよく分かる。 この観点をもって、学生時代に世界史を勉強してたらまた違ったんだろうなと思う。 政治と利権と宗教をうまく説明している本だなぁという感想です。 しかし、著者がとある国をけちょんけちょんに書いてる感もあるのでそこはフラットな目で読める人向けなのかも。2024/01/15
akiakki
2
宗教地政学を自称する本で、その地域にその宗教がなぜ根付いたか、宗教がその国の活動にどう影響しているかを解説しています。東アジアやインドの宗教伝播の歴史は期待通りだったもの、欧州は単に中世の解説、全体的な反中思想で内容のバラつきが大きい。またこの手の本にありがちな全ての事象をタイトルのテーマで説明しようとして強引な論調も見られます。13世紀にベトナムがモンゴルを追い払ったのは騎馬兵が有効活用できない地形のためであり、宗教の力ではない。2021/04/16