内容説明
カモメを食い、死の恐怖と闘った16日間。極限状況の中でどう戦い抜いたのか? ――北洋漁業船「第71日東丸」は、サハリン東海域で操業中に突然沈没し、船長以下16人の乗組員全員の死亡が伝えられた。しかし、絶望的な死の漂流を続けた、3人の生還者がいた。苛酷な自然の中で闘い抜いた男たちの、強靱な精神力と驚嘆すべき生命力を感動的に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatayan
39
流氷すら漂う冬の海で沈没した漁船から脱出、奇跡的に3名が生還した海難事故。氷海に投げ出されたのは5名。力尽きた2名の遺体をそばにカモメを食べて飢えをしのぎ、16日間の漂流を経てサハリンに漂着するという壮絶なものでした。 沈没の原因として、旧ソ連の原子力潜水艦が網を引っかけたためとする推論を著者は展開します。当時は200海里の水域制限が敷かれて間もない頃で遠洋漁業には逆風が吹いており、折しも東西冷戦のさなかで日ソ関係は複雑でした。乗組員の生還を讃えた美談というよりも、調査報道の性格を強く感じた一冊です。2020/07/01
金吾
18
○すごい話だと思います。特に生存者の方たちの漂流間の記録がほとんどないことに臨場感を感じます。帰還後の話も考えさせられるものがあります。また斉藤さんの漂流実験は凄まじいと思いました。2023/10/09
yamakujira
4
1985年、サハリン沖で乗員16人の漁船が転覆、救命ボートに乗りこんだ5人のうち3人だけが、16日間の漂流を経て生還した。厳寒の海で、捜索の打ち切りを想像する中、次々と仲間が死に、食料が尽き、見えた船や陸にも届かず、絶望を克服した3人の経験は壮絶だけれど、不謹慎を承知で言えばエピソードに乏しいし生還者の記憶も曖昧で、漂流記としては物足りない。でも、本書の白眉は事故の背景を追う姿勢だろう。事故原因、捜索活動の是非、救助の真相など、解明されない謎にさまざまな隠蔽を疑えるのがやるせない。 (★★★☆☆) 2019/03/09
のりってお
1
これだけ厳しい状況で生き残るには、体力もそうだが大変な気力の持ち主でなければならない。そして乗り合わせた人にそういう人がいればその人もまた非常に強い運の持ち主。こんな経験をすると人生観が全く変わってしまうだろう。彼らの残りの人生が穏やかであることを祈る。2018/08/03
ag0514@だが断る👼
1
☆☆☆☆☆個人的な理由。