講談社現代新書<br> 私たちはどんな世界を生きているか

個数:1
紙書籍版価格
¥990
  • 電子書籍
  • Reader

講談社現代新書
私たちはどんな世界を生きているか

  • 著者名:西谷修【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2020/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065214459

ファイル: /

内容説明

●第1章 今の世界に至る道 19世紀~1970年
・日本の戦後レジームからの脱却・グローバル経済へ・極端に分離する階層・身分制と不平等・新自由主義が社会を再組織していく・自由と管理の反転・アメリカにネオナチがいる・ヨーロッパと第一次大戦・国際連盟とILО・第二次大戦とフィラデルフィア・ド・ゴールと移民世代・EUとフランス・ル・ペンの国民戦線・フランス・ファースト・国民の解体と再接着・人権と身分制社会
●第2章 アメリカの大転換 90年代末~対テロ政策へ
・アメリカという特殊形態・モンロー主義とアメリカの「解放」・『すばらしい新世界』・「例外国家」のスタンダード化・アメリカの標準化とネット・アドレス・アメリカ・バイアス・テクノ支配と一代成金・白人の不満と被害感情・平等と「差別」、「本音」を煽るトランプ・偉大な中国・征服王朝と中国・オランダとイギリスのヘゲモニー・帝国と平和・武器を売るアメリカ・ポスト・トゥルース・人権を求めて・西洋だけでなく世界にも・自由と平等は独り舞台
●第3章 日本と朝鮮半島
・米朝会談が不満・こじらせる近隣関係・日本に三権分立はない・問われなかった戦争責任・冷戦後と歴史修正主義・拉致問題と歴史没却の勝利・朝鮮半島ではどう思っていたか・なぜ北朝鮮は核を持つのか?・ベルリンの壁崩壊とドイツ統一・北の自立、南に呑まれないために・対米核武装の成功?・軟着陸のためには・悪い国でいてもらわないと困る・日本敗戦後の朝鮮半島統治
●第4章 日本の明治一五〇年
・西洋の世界展開と日本の参入・戦争で認知される・敗戦の世界史的意味・無条件降伏と自発的隷従・正当性の論理・民主制と交渉の主体(外交)・翻訳語をつくる・翻訳する独特の日本・日露戦争から国際連盟へ
逆のドライブ・一世一元制・天皇の権威・「…名において」治める・なぜ元号に固執するのか・時代意識の造形・政治と宗教の区別・義勇兵起源ではない・独自権力になっていく軍部・装置としての天皇制・近代化の流れと逆行していく・戦後のフィラデルフィア宣言・農地改革でつくられた基盤・占領下の改革の受け止め方・西洋的価値は絶対か・冷戦の終わりと市場開放・なぜ「新」自由主義なのか・平成の三〇年で起きたこと・あらゆるものを市場化する・国策としての新自由主義・神道国家派の大攻勢・米軍と一体化する自衛隊・自由の底が抜けている・失われた三〇年で何を失ったか
●第5章 現在の日本と世界のこれから
・西洋的世界の変質・国、政治、経済・民主、平等、自由・連携における自立・人権のない存在、テロリストの発明・フランスとアメリカの歴史否認・日本では民主主義がいらなくなっている・ポイント・オブ・ノーリターン・「身分制のほうがいいんじゃないか」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

85
西谷先生が、西洋近代化200年と明治150年の歴史の中で、欧州、米国、朝鮮半島、日本を振り返る警世の書。新自由主義への懐疑には全く同感である。「自由の底が抜けている」「公的機関である国家が、私的な経済活動のエージェントになってしまった」「政治の後退と経済の優位」「民営化(privatization)は「私物化」「私権化」と訳すべき」などの言葉に、先生の強い思いを感じる。社会の変質や崩壊を招いた一番の要因は「労働・雇用」だとして、ILOのフィラデルフィア宣言の重要性を指摘されていることに、蒙を啓かれる。2021/01/05

踊る猫

34
教科書のような本だ。真面目に書かれていることが美徳で、その分脱線もなければ豊満な贅肉が生み出す旨味もない。ひと口で言えば、今のリベラルの良さとダメなところがこのコンパクトな本の中に詰め込まれている印象を受ける。この語り口は誰に向けたもので、どう届くものだろうか。アメリカを諌め、日本の国粋主義を嘆く「反日」の作法(私は、これは「保守」と言ってもいいと思うが)は読者の拒否反応を呼び起こすものと思う。それに対する工夫が見られないので、結局「面白味のない一冊」と処理されるのではと……この本の意義を買うだけに、辛い2021/01/15

いーたん

30
西洋近代化200年、明治150年という時代のスパンで振り返り、自由と政治について考察する。自分の気持ちを素地によるところか、テンポよく読めたところと、スルスル頭に入らなかったところがありました。自由が底抜けしている現代、分断された人間たちが市場の自由の濁流のなかで溺れている、と警鐘を鳴らす。コロナ禍で変化を余儀なくされているいま、決して後戻りできないポイントオブノーリターンであることを自覚し、自由を考え直すべき、という。何年かして振り返った時に後悔しないように。2021/01/31

おおにし

20
(読書会課題本)フランス思想研究家による西洋史の流れからみた日本近現代史の解説本。なので一般的な日本史とはちょっと視点が異なるが、私は著者の主張には大いに賛同する。『世界の人びとは「人権」とか「平等」ということを支えにして社会を組んでいくことに、もう疲れて、倦んできているのではないか』(P.70) 日本も御多分に漏れず、安全・安心な社会づくりと称して、デジタル・AI化による新しい身分制社会に進んでいく可能性が大いにあると私も感じる。2021/10/22

ta_chanko

17
西洋近代200年・明治150年。フランス革命以来、掲げられてきた「自由・平等」が、どのようにして西洋・日本・非西洋で受け入れられていったのか。まず西洋で、非白人の犠牲の上に成立。しかし、豊かさを担保する犠牲=植民地の獲り合いから2度にわたる世界大戦へ。その間、日本は「脱亜入欧」を目指して天皇のもとに性急に国民国家を作り上げたが、一次大戦後の国際協調と脱帝国主義化に逆行するかたちで軍部の暴走を許し、二次大戦で破綻。戦後、世界は「自由・平等」を人類普遍の原理として国連中心の集団安全保障体制を構築。2021/01/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16745225
  • ご注意事項

最近チェックした商品