内容説明
最新免疫学が教える「非自己」と「自己」とは
私たちの免疫系は、なぜ自己の細胞や抗原に対して反応しないのか?
免疫学の最大の謎ともいえる「免疫自己寛容」の解明に長年取り組んできた著者が、世界で初めて発見した「制御性T細胞」。免疫学にパラダイム・シフトをもたらし、」「がん」や「自己免疫疾患」の治療や「臓器移植」に革命をもたらすとされる研究の最前線に迫る。
坂口志文(さかぐち・しもん)
大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授。1951年滋賀県生まれ。1976年京都大学医学部卒業。医学博士。1999年京都大学再生医科学研究所教授、同研究所長を経て、2011年大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授。2016年から現職。過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見。2015年ガードナー国際賞、2019年文化勲章、2020年ロベルト・コッホ賞など、内外の受賞多数。
第1章 ヒトはなぜ病気になるのか
第2章 「胸腺」に潜む未知なるT細胞
第3章 制御性T細胞の目印を追い求めて
第4章 サプレッサーT細胞の呪縛
第5章 Foxp3遺伝子の発見
第6章 制御性T細胞でがんに挑む
第7章 制御性T細胞が拓く新たな免疫医療
第8章 制御性T細胞とは何者か
目次
●主な内容
第1章 免疫疾患はなぜ起こるのか
アレルギー、自己免疫疾患
第2章 制御性T細胞の発見
自己免疫反応を抑える!?
第3章 抑制性T細胞の呪縛
抑制性と制御性の対立
第4章 制御性T細胞のメカニズム
いかに分化するのか
第5章 免疫治療への道
がんに挑む
第6章 新しい免疫論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禄
22
制御性T細胞を発見した坂口志文先生によるこのノーベル賞級の発見の経緯とその役割の解説、がん免疫や自己免疫疾患の治療への応用について書かれている。少し難しいところもあったが、同じブルーバックスの「新しい免疫入門」を読んでいたので、理解しやすかった。とくに後半のがん免疫への応用が興味深くおもしろく読めた。免疫学おもしろい!2022/04/26
fseigojp
12
ノーベル賞級の発見だという サプレッサーT細胞という幻の概念に邪魔され、最初はアクセプトされなかったとか2021/04/25
マルレラ
11
私たちの持つ免疫系は、なぜ自己に対して攻撃しないのか。坂口先生はこの「免疫自己寛容」で重要な役割を果たす、「制御性T細胞(Treg)」を世界で初めて発見し、免疫学にパラダイムシフトを起こした。本書はTreg発見の歴史から研究の最前線、がんや自己免疫疾患の治療への応用を丁寧に紹介している。 免疫学(主にT細胞分化)の基礎的な話からTregの分子メカニズムまで丁寧に説明されていてとても勉強になりました。Treg発見のお話は推理小説を読んでるようなワクワク感があり、研究の面白さを改めて実感できました。2024/11/27
うぃっくす
8
多分読み方としてはずれてるんだけど、論文掲載門前払いされて自説への葛藤を抱えながらも考えを信じて研究室を転々としながら研究し続けていよいよTレグの発見!ってなって時間をかけながら徐々に認められていくというさまに涙が…なんとドラマチック。不遇数週間でもうやめるわってなる自分との器の違いよ…。奥様もすごい。内容としては免疫の本の中でもかなりわかりやすくて坂口先生の研究の成果をまとめた本として家に置いておきたくなった。やはり胸腺か。最近よく聞くと思った。それに改めてTレグすごい、ノーベル賞級の発見だよね。2022/09/21
うつしみ
7
昔の免疫治療がうまくいかなかったのは、自己と非自己の境界は固定的という当時の常識に囚われていた所為だろうか。著者が発見した制御性T細胞は、過剰な免疫反応を調整する細胞で、自己と非自己の境界は状況に応じて変化しうる事を示すものであった。Tregの数を増やしたり減らしたり、他の免疫治療薬と併用する事で癌や自己免疫の治療に新展開が巻き起ころうとしている。初めは異端視されていた著者の研究だが、逆境にめげず信念を曲げなかった事が大発見に繋がった。著者は世人自己でなく、自己の内なる声に忠実であり続けた人なんだと思う。2023/06/02
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