内容説明
高齢者介護施設・あずき荘で働く、新米女性介護士のメイこと明治瑞希(めいじ みずき)はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし、犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった! ありえない証言に加え、見つからない凶器の謎もあり、捜査は難航する。そんな中、メイの同僚・ハルが片思いしている青年が、最有力容疑者として浮上したことが判明。メイはハルに泣きつかれ、ミステリ好きの素人探偵として、彼の無実を証明しようと奮闘するが……。不可能犯罪の真相は、切れ味鋭いロジックで鮮やかに明かされる! 選考委員の満場一致で決定した、第30回鮎川哲也賞受賞作。/第30回鮎川哲也賞選考経過、選評=加納朋子 辻真先 東川篤哉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
286
第30回鮎川哲也賞受賞作ということで読みました。事件は地味ながら、読み易く謎解きが楽しく爽やかな印象です。次回作も楽しみにしています。 http://www.tsogen.co.jp/award/ayukawa/30th/2021/01/05
nobby
213
まず舞台が小規模多機能型居宅介護ってのが感慨深い!そうそう、高齢者のデイとショートとヘルパーを同じ事業所で行うの!そこで短期間であれ勤めた者が感じる理想と現実は置いといて…その仕組みを絡ませた事件の混迷ぶりはニヤリと面白く読んだ♬認知症老人5人が目にした殺人犯の服の色は赤緑白黒青と五色綺麗に食い違う。さらには見つからない凶器の謎。スゴく読みやすく楽しんだけど、巡り巡って結局…な展開がちょっと残念かな…その大ネタへの振りやらがだいぶわざとらしい、いや分かりやすいし(笑)ラストのオチを顕著に軽く読めれば良作♬2020/12/13
machi☺︎︎゛
169
鮎川哲也賞受賞作品。高齢者介護施設、あずき荘で利用者が殺された。犯人らしき人物を見た5人の目撃者は、犯人の服を赤、緑、青、黒、白とバラバラの色を証言した。そこからあずき荘で働くメイさんとハルさんの犯人探しが始まる。容疑者は少ないのになかなか真相が明らかにならないし怪しい人はいるのに何かが違う。最後まで読んで深く納得。全部が綺麗に解決してスッキリした。最後の最後にちゃんとオチもあってすごく面白かった。2020/12/12
tonnura007
111
介護施設で利用者が殺されてしまう。犯人の目撃証言者は施設利用者の5人だが、犯人の服の色についてバラバラの五色の色を証言する。なぜ証言が食い違うのか、施設職員であるメイは素人探偵として事件に首を突っ込むことになる。 色についての証言がなぜ食い違うのかという点が大きな謎が設定されている点は独自性が強く面白いが、ネタとしては小ネタであり短編向きだと感じる。人名に関する勘違いも面白いがやはり短編向き。長編にしてしまった点で非常に軽い内容となっており、それがある意味では評価されているのかもしれない。2024/09/18
ちーたん
98
★★☆☆☆第30回鮎川哲也賞受賞作。介護施設『あずき荘』で利用者の老人が撲殺される。目撃者5人の老人は犯人の服の色をそれぞれ《赤、青、白、黒、緑》と全く別の色で答えた。施設の職員・メイは素人探偵として事件の真相を追う!◆近年の鮎川哲也賞は好み作品が多いため、本作にもその水準を求めてしまったため★2。ミステリがしっかりしてれば多少強引なご都合主義は気にならない質なのだが、話の膨らませ方があまりにも素人レベルやしませんか?💦その分、大トリック透け透け。故に真相も透け透け。今後の作品に期待したい。2020/11/07