内容説明
冷戦後最悪の米ロ関係、中ロ接近と米中の「新冷戦」──。コロナ後の世界秩序をどう構想すべきか? 7月の国民投票で2036年まで続投可能になったロシアのプーチン大統領。この20年のロシア政治史を内政と外交との連係から記述する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TMHR ODR
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日本を代表するロシア近代政治学者の書くプーチンの20年。学者の書く本は分かりにくいのが常だが、本書は人名が多すぎで読むのが辛かった。が、プーチンは意外にもバランサー的存在であり、この20年、国民の寿命を延ばし、所得を増やし、常に80%以上の支持率を得てきた非常にデキる、トランプやバイデン如きでは操れるはずも無い優秀な政治家であることが透けて理解出来る内容だった。ウクライナ侵攻が激しい昨今、ロシア国内からの政権瓦解を期待する声があるが、この本を読むとロシア国民がそれを望むか?と思えてくる。2022/04/29
ゆうろう
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本邦ロシア政治の第一人者・下斗米先生の著書。「新生ロシアで権力とは富であり、政治は経済である」(P65)に納得。プーチンが1990年代から始まったNATO東方拡大を、いかに屈辱と感じ不満に思っているかがよくわかった。もっとも、だからといってウクライナ侵略他軍事行動は絶対に許されない❗️ロシア政治に関わる多様な人物も「3人のセルゲイ」といったエピソードを交え詳述しておりとても参考になった。ただ「べレゾスキー」といった脱字、P227, 247, 262で見られる誤記が残念。著者というより編集者の怠慢だと思う。2022/03/22
ちまき
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ロシアについてほぼ知識のないところから読みだした。エリツィン、プーチン、メドベージェフ等トップ政治家以外は全く名前もピンとこず、手こずった。プーチンは大統領と首相を行き来し、大統領任期の件でも、中国と同様の権威主義と想像していたが、その政権運営はむしろ資源価格、国内力学の中でのバランス感覚によるものだということが認識できた。共産主義という科学主義から、正教の世界に戻って来ていたりと、ソ連からロシアというのは想像以上に根本から変わっているよう。多極化の中で重要なプレイヤーであり、理解を深めたい。2020/12/06