岩波現代文庫<br> マーケティングの神話

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岩波現代文庫
マーケティングの神話

  • 著者名:石井淳蔵
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 岩波書店(2020/10発売)
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  • ISBN:9784006001353

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内容説明

ヒット商品は科学的な調査・分析によって理論的に生みだされたという物語は,開発現場での経緯と合致しないことが多い.合理的思考に内在するパラドクスを現代哲学・思想の成果を取り入れて検討し,ポスト近代の不可思議な消費を考察する.本書は,マーケティング論の基礎文献であるとともに,すぐれた現代文化論である.

目次

第1章 マーケティングの神話
1 困惑するマーケティング現場
2 製品開発に合理性はありうるか
3 コンセプト・ターゲットの見誤りは多くないか
4 消費者に欲望はあるか
5 新しいマーケティング概念に向けて
6 本書の問題提起
第2章 意味構成・了解型の製品開発
1 金融商品の開発と広告作品の制作
2 モノ型スタイルと芸術型スタイル
3 日産自動車の開発体制の革新
4 製品開発の二つの論理 論理実証と意味構成・了解
5 意味構成・了解概念の意義
第3章 対話型コミュニケーション
1 マーケティング・リサーチの革新
2 組織コミュニケーションの革新
3 マーケティング・コミュニケーションの革新
4 解釈情報コミュニケーションの意義
第4章 競争概念は普遍的か
1 日本と米国に見る競争行動の違い
2 米国流マーケティング・マネジメント
3 日本流マーケティング・マネジメント
4 器用仕事と客観的偶然
5 コンセプトによる適応と記号作用による適応
第5章 人間にとって消費するとは何か
1 なぜ、消費をするのか
2 文化的事業としての消費
3 体験としての消費
4 消費概念の深化
第6章 交換は必然のものか
1 マーケティングの基礎概念としての交換
2 相互行為としての交換
3 交換は必然か
4 浮遊する価値
第7章 科学はマーケティングなのか
1 「科学」概念の脱構築へ
2 マーケティング研究の相対主義
3 「マーケティングは科学なのか」再論
4 マーケティング世界におけるポスト・ポジティビズムの意義
第8章 神話のマーケティング
1 認識優位の知
2 フィールドの知
3 神話のマーケティング
4 分析的理解、共感的理解、そして対話的理解
参考文献
あとがき
岩波現代文庫版に寄せて
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

28
大ヒットした商品には必ずといって言いほど開発時期からはじまる成功談や物語がある。本書はそうした成功物語は調べてみると後付のフィクションであり、それがなぜ作られるかは企業もヒット商品の物語を通して、企業のアイデンティティになる物語こそマーケティングしているのではないかと論じる(つまり企業神話のマーケティングということか)。この仮説は確かに科学的に証明することは難しいが、本書はそこも踏み込んで科学的に分析することは果たして客観的かという哲学的な話にも発展させており、スケールが大きく難解な一冊となっている。2023/11/05

中年サラリーマン

13
オススメ。文章は堅い、しかし内容はファンタスティック。モノを売るマーケとコンセプトを売るマーケという具体的な違いからマーケティングという世界へ誘導。そこから、そもそも「消費するとはなにか?」と突っ込む。さらに、「交換」、はたまた「科学はマーケティングか」にいたっては思想の世界だ。恐らくこの本は即戦力にはならない。しかし、この本は地図なのだ。高い視点からマーケティングを見下ろしている。いや、マーケティングを含んだもっと広い概念を見下ろしている。本題の一部を本書に回してほしいと切に願うものである。2014/02/08

maqiso

6
製品の売上は機能や価格といった客観的な指標だけでは予測できず、発売後に消費者が見出した物語が売上を大きく左右することがある。消費者は共通の物語をもつ製品で身の回りを固めたがる。製品の価値は文化的・社会的に決まるため、生産と消費のコミュニケーションとしてマーケティングを考える必要がある。例があって読みやすいが内容はやや古い。2023/02/05

デューク

6
「価値の源泉は異文化に橋をかけることであり、マーケティングはその異文化を媒介する活動である」。そう語る筆者による、マーケティング論の決定版。ヒット商品を生み出すには何をすればいいか。企業人なら誰もが考える問いである。それに答える事例は世の中に山ほどある。だがその通りにすれば、本当にヒット商品は生み出せるのだろうか。ヒットした後で、整合性の取れる物語に仕立てているのではないだろうか。明確な答えが書かれている本ではない。だがここで展開されている深い考察は、自分の血肉としたいものばかりである。いちおし2017/04/07

うえ

5
「「ホンダ・アコードは新しいゲームの象徴だ」自動車業界における日米企業間の競争は、世界の政治を巻き込んだ、複雑でかつ激しいものである。1970年代以降の、日本企業の米国進出には目覚ましいものがあった。米国企業は、それにたいする対応策が見つからないまま、防戦一方に追い込まれていった。両国の自動車企業の競争力の違いがどこに原因するのか、多様な議論が展開した…しかし…認識の違いがあったのではないか…つまり、米国企業は自動車市場は成熟した市場と考えていた一方で日本企業は市場をなお成長段階にあるものと考えていた」2016/04/17

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