内容説明
「心きれい」なんて言わないで! 『非・バランス』の著者が描く「友だちって何?」――もし私だったら、そんなふうに生き残りたくないと深澄(みすみ)は思う。自分からまっすぐに矢のように落ちていく……。小さいときから「仕事ニンゲン」の両親に自立を強いられて育ち、15歳になった深澄。お嬢様学校になじめず、いつも不機嫌な毎日を送っていたが、ある日、街はずれの崖の上で不思議な異国の少女に出会う。友だちになろうとする二人の前に、お金、親子、学校、仕事……大人たちの世界が冷たく立ちはだかる。
◎「自分は、やっぱりひ弱なんだろうなと、ちょっと恥ずかしい。でも、ひ弱な人間も、生きていかなくちゃいけない。だからこそ、もう少し重なりたい。もうちょっとだけ、つながりたい。」<あとがきより>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひまわり
9
十代の少女は悩みながら生きている。日本に生まれたからと言って,裕福な家庭で育ったからと言って,幸せとは限らない。2017/02/09
しんちゃん
6
大人になることを母親から強いられた裕福な家の少女と、貧しい家庭環境から大人にならざるをえなかったタイの少女が出会った。この二人の少女のうち、どちらがより大きな寂しさや悩みを抱えているかは、問うべきことではない。あとがきに書かれていることがすべてで、読んでみるとすべてが納得できるからだ。でもわりを食うのはいつも日本人。外国人の子は健気に見えてもやはりしたたかだった。そこはちょっとショックを受けつつ、国民性故にさもありなんと思った。一方で、大人たちのすべてがサイテーだった。2009/08/05
如月小町
4
表紙を見て、さわやかな青春ものだと思ったが違った。 小さい時から、両親に自立を求められてきた美澄の心の叫びが胸に刺さる。いろいろな問題を受け止めきれない。美澄の寂しさに気づいていながら、何もしない両親に腹が立つ。2022/04/08
史
3
これは異文化交流。これは飢え。これは悲鳴。声なき叫びと嘆き、そして激励か。鈍色の世の中で足掻き翻弄される物語か。世紀末とグローバルがよく混ざっていますね。2023/06/29
いちの
3
「いい子」だとか「怠け者」だとかパーソナリティを決めつけてしまいがちだけど、純度100%のいい子や怠け者なんていない。そのことに気づき揺れを認めよう、みたいなメッセージだと思ったのだけど、筆者のあとがき「外国の(いわゆる不幸な)子がなぜ笑い、なぜ悔しがるのかを具体的に知り共感した時、自分も頑張らなくてはと思えるのではないか」という文章で正直よく分からなくなってしまった。そういう話だとは思わなかった…。となると写真屋のくだりはなんだったのか?2021/06/12