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内容説明
自分の人生の主導権を、コロナにも医療にも奪われないために。
新型コロナの感染拡大では、「医療崩壊」の危機が叫ばれた。
しかし、病院数も病床数も世界一多い日本で、なぜそんな事態に陥るのか。
そこには、「世界最高レベル」と称される日本の医療が、私たちの健康と幸福につながっていないという、根深い問題があった――。
著者は、財政破綻の結果、市内にひとつしかない病院がなくなるという「医療崩壊」が起きた夕張で地域医療に従事。
その経験を踏まえ、コロナ禍で露呈した日本の医療の問題点を明らかにする。
■病床が多いと平均寿命が延びる
■全国どこでも同じような医療が受けられる
■医師が忙しすぎるのは医師不足だから
■医療も市場原理に任せるほうがうまくいく
■地域の病院は減らしてはいけない
■公立病院の赤字は税金の無駄遣い
■病院がなければ高齢者は幸せに生きられない
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知っていましたか。以上7つはすべて「大いなる誤解」です!
〈目次〉
第1章:コロナ禍で起きた「おかしなこと」
第2章:人はウイルスとは戦えない
第3章:各国のコロナ対応、その背景と結果
第4章:日本の医療をめぐる7つの誤解
第5章:医療崩壊した夕張で起きたこと
終章:医療に私たちの人生を明け渡さないために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レモン
40
長年医療に対して思っていたモヤモヤについて医師の立場から言及し、日本の医療制度の不具合を指摘されている。高齢者の病院通いや医療への低い満足度、風邪で医者にかかるかなど、なぜこんな状態?と疑問に思っていたことばかり。2020年前半のコロナ初期の各国の対応も絡めて述べておられ、興味深かった。超高齢社会の日本でこそ、プライマリ・ケアをもっと進めてほしい。総合医療を担う地域のかかりつけ医がいるなんてとても魅力的。夕張市の事例も面白く、自然と海堂尊の極北シリーズを思い出した。世良さんは著者だったのかな。2022/09/06
香菜子(かなこ・Kanako)
29
日本の医療の不都合な真実 コロナ禍で見えた「世界最高レベルの医療」の裏側。森田 洋之先生の著書。世界最高レベルの医療がある日本なのにそれが日本に住む人たちの幸せにはつながっていないとしたら、世界最高レベルの医療なんて何の意味もないし、単なる自己満足。自己満足で世界最高レベルの医療を実現しているとしたら、いったい誰のための世界最高レベルの医療なのでしょう。お金儲けしか頭にないような強欲な一部の医療関係者やお役人のためにしかなっていなのだったら、そんなの早くなくしてほしい。2022/06/27
ようはん
24
世界的にも日本の医療レベルは高い部類に入るが、そこには色々な問題を抱えているという話。世界一の病床数を誇るがコロナ対策で使用されたのはごく僅か、診療報酬の抑制が招いた患者数の増加と医療費の高騰、救急患者を常に受け入れる態勢のない中小病院の統廃合が進まない為に救急患者のたらい回しが起きるという事等。著者がいた夕張のように「治す医療」から「生活を支える医療」への転換も必要だと感じる。2020/12/08
清水勇
16
「人は家畜になっても生き残る道を選ぶのか」というショッキングな言葉が執筆理由とする著者に、病院が生き残る為に高齢者を家畜化する現実を見せつけられる。著者は経済学部卒業後医学部に入り直し医師になり財政破綻した夕張市の診療所勤務というユニークな経歴を持ち、「人は必ず死ぬ」を忘れた医療と我々に対し、高齢者医療の目的を「治す」から「生活を支える」への変換を提案。世界一の病床数を誇る日本が何故欧米に比べ感染者が1桁以上少ないのに医療崩壊が叫ばれる理由がよくわかった。人生の主導権を医療に任せない決意の必要性を痛感。2021/03/30
犬養三千代
13
世界最高レベルなのに、患者は置いてけぼり。それは、お医者さまと患者のコミュニケーション不足だと思う。私は癌サバイバーなのだが最初からドクターを信頼するぞ!オーラ全開だった。それにドクターも応えてくれた。近所のかかりつけ医は勿論(ヤブだという人もいる)。 残念なことは大病院にはドクターの異動があるということ。 次のドクターとまた信頼関係を築かねばならない。 医療の闇はよく言われることだ。 私は今まで良き医師に恵まれた。感謝しかない。2022/04/09