内容説明
「あなたは考えたことがありますか? 自分がラストエンペラーになるかもしれないって」――私は東京の空虚な中心に広がる森に住む憂いの皇后。ハンドルネームはスノードロップ。花言葉は「希望」「慰め」。腐敗した泥舟政権は国民を国家に奉仕させる倒錯を繰り返す。さあ、「ダークネット」を駆使し、「令和の改新」を実行すべし!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
198
島田 雅彦は、デビュー以来30年以上に渡って読んでいる作家です。『無限カノン』シリーズ三部作に続く「皇室小説」、現実との共通点を考えながら興味深く読みました。著者らしいアイロニーに富んだ小説、平和な日本だから発禁処分にならないんでしょうね。本書がベストセラーになりそうだったら、官邸が動きそうです(笑) https://www.shinchosha.co.jp/book/362210/2020/06/06
ヲム
50
普段謎に包まれてる皇室の方々の暮らしですが、SNSしたり、コンビニ行ったりなど(フィクションと願いたいですが…)庶民的で面白く感じました。 それ以外にも、主人公である皇后のスノードロップや首相のモデルが想像出来る為、リアルでした。2020/05/21
路地
46
パラレルワールドとしつつ、事実上実在の人物である天皇、皇后両陛下に島田さん自身の相当にリベラルな政治信条を語らせる大胆な手法に驚く。不遜なまでの胆力こそ作家に必要なものかと思う一方で、図らずも登場人物とされたご本人はどのような気持ちで読むのかと、少し緊張しながら読んだ。それにしても、本作のようなリベラルであれ、正反対の右翼的主張であれ、政治的な言動を見かけると根拠のない拒否感を感じるのは勉強不足が故なのか。自身の立ち位置を見つめ直すきっかけとなる一冊かもしれない。2023/03/29
信兵衛
28
今上天皇と不二子皇后が仕掛けた<令和の改新>とは如何なるものか? そのバトルの様は率直に言って愉快。2020/05/26
川越読書旅団
24
ファンタジー(英雄物語等のそれではなく)要素をベースに、ただただ現政権に対する痛烈な批判を皇室の視点から挙げ連ねる実験的?な作品。このコロナ禍という絶妙なタイミングでの上梓。狙ったか!2020/06/12