国際協力の戦後史

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国際協力の戦後史

  • ISBN:9784492062159

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内容説明

日本の援助戦略を描いたキーパーソンによる証言
いま明かされる驚愕の秘話

荒木氏は長年の取材を通じて外務省や大蔵省、そして国際協力に関心を持つ政治家に広くネットワークを築き、ときには自らが水面下でアクターとして動いた。官僚であれば定期的な異動はつきものであり、国際協力分野に特化した政治家というのも想定しづらい。その黎明期から現在に至るまで、援助プロジェクトの現場、そして援助政策やその方向性を形づくる霞が関、永田町の内奥をともに知り尽くす荒木氏は、日本の国際協力の戦後史について、実に稀有な証言者と言うべきであろう(中略)。国際協力は日本と国際社会を結び付ける大切な紐帯であり、「平和国家」を標榜してきた日本は、とりわけそれを大事にしてきた。起伏に富む戦後日本の国際協力の歩みを内在的に理解し、今後の展望と構想を実り豊かなものとする上で、本書における聞き取りが資するところは小さくないと思うのである。(本書「はじめに」より)

目次

はじめに
第1章 「戦前派」の水脈と『国際開発ジャーナル』創刊
第2章 資源獲得戦略とJICA創設
第3章 アメリカの対日圧力とODAの急増
第4章 ODAの終焉から新しい国際協力へ
解 題 戦後日本のODAと荒木光弥
付表
編者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

52
この本は政府開発援助の歴史を知るのには不可欠となる。小生の学部時代の卒論は、このテーマでした。その後の展開についても、学び合い・育ち合い必要になります。別の貧困の本を音読してたら、泣いてしまいました。涙脆いこの頃です。いや、年齢ですね。。2023/02/09

Mealla0v0

6
『国際開発ジャーナル』創刊メンバーにしてJICA設立・ODA改革に尽力した国際協力の生き字引・荒木光弥。本書は、大来佐武郎に見出され、多くの大物政治家とも交わった荒木のインタビューであり――荒木がどれほど誠実であろうと誤謬がないとは限らないが、その点を差し引いたとしても――非常に興味深いものとなっている。戦後賠償を主導したのは戦前のアジア主義者たちだという証言、満州国の開発経験が流用されたこと、搾取をよしとする財界への意識改革、資源確保といった裏事情のようなものも話題に上っており非常に興味深い。2023/07/09

もりっち

1
賠償という名の自国製品出荷、外務、農林、経産、財務の縦割り行政とJICA設立の経緯、ODA世界1位は貿易摩擦相殺のためのばらまきであり、米国政策への追従であったなど、国際協力がいかに国益と密接に絡み、表向きの理念とは違う政治ゲームの中で動いて来たかがよくわかるインタビューだった。理想だけで動いているわけない世界なので、こうした政治の本心みたいなものがどこにあるかを常に念頭に置いておきたいし、ここまでの日本の援助潮流を知るにはとても有益だと思う。2023/08/06

とある本棚

1
再読。最近1960年〜1980年代の外交史を勉強し直したので、初めて読んだ時よりも楽しく勉強になった。 この本を読むことで、日本のODAやJICAが政治的妥協の産物から生まれたことがよく分かる。ODA実務者の中には、援助は「慈善」であるべきという考えを持つ人もいるが、この本を読めばODAそもそもの成立から政治や外交と密接に関わっていたことがよくわかると思う。 人材育成の考えに親和的なのは財務省で、外務省は新しいことを始めたがるので継続的な人材育成を軽視しがち、という指摘は興味深い。2021/05/04

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