内容説明
「どうせ社会の側の人たちが僕らに理解を示してくれることなんてないでしょう」
これは、生きる場所を求めて歌舞伎町に集まった若者たちの、泡のように淡い夢と重い現実の物語である。
新型コロナの震源地と呼ばれた「夜の街」とは? 新宿歌舞伎町という虚構と真実の入り混じる街で、ホストたちはどんな半世紀をたどってきたのか。ホストブーム、浄化作戦、東日本大震災、愛田武の死、そして新型コロナ……激動の街を描くノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
65
知っているようで全く知らないホストの世界。石井さんの作品だけにここまで書くかと言うくらいの内容でした。ホストクラブと言えば愛田社長のクラブ愛。ホストクラブの歴史は、まさに愛田社長が軸となって語られる。どんな業界でも創世記には闇の歴史があるように、ホストの世界にも黒歴史があります。簡単に黒と言っていいのかは疑問ですが、前半と後半では、世界が一変したかのようでした。2020/12/29
ma-bo
59
作者の著書は過去に「鬼畜の家」わが子を殺す親たち、「43回の殺意」川崎中1男子生徒殺害事件の深層等を読んでいます。非常に丁寧に取材された上で書かれている方という印象。この作品は自分には全く縁のないホスト業界でしたが、歴史や成功・失敗、業界の闇、読み応えのある内容でした。2020/11/06
さぜん
51
先日新宿区長が歌舞伎町の風評被害を挽回すべくホストクラブのオーナー達と協力していく記事を読んだ。苦境に立たされてたホスト達の現状、悪のイメージが強かったがそこには偏見もあった。今までメディアに登場するホストからしかこの業界を垣間見ることがなかったので激動の歴史を興味深く読む。石井氏の丁寧な取材と客観的な視点から綴られる彼らは一般社会からはじかれつつも居場所を求め懸命に生きている。法に触れる者もいるがここでしか働けない者もいる。フィルターを外して見ることが大切だと改めて思う。2020/11/21
読特
30
夜の街の男の業界。いじめ、暴力、殺人。近づきたくない。この著者でなければ興味を持つことはなかっただろう。そんな世界で何かを成し遂げて来た人たちがいる。彼らは何も持っていなかった。下っ端で働き独立。ブームにも乗った。目立ってはいけない不文律を破った。いつしかもてはやされるようになった。順風ばかりでもなかった。バブル崩壊、浄化作戦、311。切磋琢磨し、知恵を絞りだし生き残って来た。そして、コロナ。一転悪役に。実際には人一倍の工夫をしていた。彼らにはエンパシーを持つ。つまり、共感は持てなくても敬意は示したい。2020/11/15
ばんだねいっぺい
30
歌舞伎町のホストクラブの歴史を駆け足で教えてくれる本。魑魅魍魎蠢く中で悪戦苦闘を続けて今があるということ。そして、過去もそうならば、これからも変わっていくんだろうな。2020/10/11