内容説明
公法篇と対をなす刑事法篇のキーワードは「政治システム」。代表的な古典の遺産である政治システムの生命線が刑事司法なのだ。であるならば、現代の私たちも、古典の世界の基本コードを確認せずに刑事法を通り過ぎることはできない。民法篇、公法篇に続き、日本の判例ベースで対話する、「笑う」を超えて「笑うしかない三部作」完結!
目次
はしがき
0 予備的討論
1 死刑
2 逮捕・勾留・差押え
3 訴因
4 証拠能力
5 伝聞法則・証拠開示
6 自白
7 未遂
8 正当防衛
9 過失犯
10 「組織的な犯罪」
11 文書偽造
12 横領・窃盗
おわりに
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
check mate
1
横領と背任よりも横領と窃盗の境界の方が本質的とは。ポイントはやはり占有。2019/08/16
ただの人間
0
刑事法でも変わらずの政治、占有へのコミットメント。とても真似はできていないけれども、普段の業務でも事案、テクストにどれだけ接近できているかは意識しなければいけないと改めて感じさせられた2019/11/27
フクロウ
0
「応報といってもたとえばカントの応報はきわめて厳密な限度を基礎づけるためのものです。主体の行動の自律が思想の根底に存在します。」(5頁)「団藤重光『死刑廃止論』第6版……Kantさえ批判して「刑事法が考えるべき応報は極めて次元の高いものでなければならない」とする。」(32頁脚注3) ヌスバウムの言う「応報」はカント同様、犯人の尊厳を維持し、社会に再統合するために必要な極めて高度な理念であり、部族間報復感情とは全く異なるとする点で木庭と似る。 2人のバックボーンは古代ギリシャであり似ている理由がある。2019/07/27