内容説明
2008年に上梓した本書は研究書としての性格のみならず、「内発的発展論」「キーパーソン論」「ジェンダー論」「フェアトレード運動」「オルタナティブな教育論」など国際開発論や開発社会学の基礎的イシューをほぼ網羅している。補訂版においては、若干の考察を追加するとともに部分的な削除をし、並製とし低価格を実現した。
目次
はじめに
序章 本書の射程と南部メキシコという文脈
1 内発的発展とポスト開発論に関する概念整理
2 本書の射程と構成
3 いくつかのキーワードと分析的視点
4 メキシコおよびオアハカという文脈
5 用語表記に関する補足
第1章 脱プロ知識人とポスト開発思想
1 はじめに
2 ポスト開発思想の歴史的背景
3 エステバの遍歴:開発のエリートからポスト開発活動家への道のり
4 ポスト開発思想の世界観
5 南と北の人々に求められるもの
6 考察と議論
7 むすび
第2章 女性活動家の遍歴と政治空間
1 はじめに
2 テワンテペック地峡の政治地理
3 ある女性活動家の遍歴と証言
4 むすび
第3章 フェアトレードの父の思想と哲学
1 はじめに
2 方法論と目的
3 イスモ地域先住民族共同体組合(UCIRI)の概要
4 ヴァンデルホフの個人史と思想・哲学
5 考 察
6 むすび
第4章 農民・女性・青年の「学び」から
1 はじめに
2 教育と学びに関する2つのテーゼ
3 非・不定型の「学び」の展開:農民・女性・若者へのインタビューから
4 考 察
5 むすび
第5章 『女の町フチタン』のその後
1 はじめに
2 フチタンをみる視座
3 『女の町フチタン』について
4 フチタンにおける4つの性
5 ムシェ市民活動家へのインタビューから
6 むすび
第6章 知識人の対話から実践へ
1 はじめに
2 イヴァン・イリイチについて
3 エステバの「語り」におけるイリイチとオアハカでの実践
4 むすび
第7章 ローカルNGOと市民社会,そして政府
1 はじめに
2 教会系NGOの発達と社会運動
3 農村ラジオ局によるアイデンティティ戦略
4 カタリストとしての農村青年NGO
5 政府とNGOの関係の二面性
6 むすび
第8章 グローバル化への反応と矛盾
1 はじめに
2 構造調整とコーヒー生産者組合
3 PPP反対運動とローカルNGO
4 むすび
第9章 内発的発展・知識人・NGO
1 はじめに
2 新しい社会運動の遺産と新たな展開
3 ローカルNGOの評価
4 社会変革における人的資源としての知識人達
5 むすび:運動としての内発的発展論と対抗的政策論
終章 複眼的なリアリティの捉え方に関する試論
1 はじめに
2 本書が提示した主体形成論と権力関係論
3 社会構造と行為主体の関係という命題
4 実証主義と解釈主義の関係という命題
5 リアリティ理解のための様々な社会科学的営為
6 むすび
7 おわりに
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