内容説明
発災時のみならず、その後の復旧・復興においても情報をロングテールで提供することが求められる。的確な情報の提供とコミュニケーションの形成、コミュニティの活用を通じて情報が市民のモチベーションを高め再興に向けた動きを加速し、地域社会を活性化することが期待されている。本書はそのための方向性を示すことを目指している。
目次
はじめに
第1章 コミュニティ防災とICT―熊本地震,九州北部豪雨,西日本豪雨等を踏まえて[林秀弥・西澤雅道・金思穎]
1.はじめに
2.災害対策基本法改正と地区防災計画制度の創設
3.地区防災計画制度と事業継続
4.防災と「心の罠」
5.ICT×AI×防災・減災
6.事例から考える防災とICT
7.おわりに
第2章 自治体公衆無線LANの有効活用戦略[実積寿也]
1.はじめに
2.自治体公衆無線LANとは
3.熊本地震における活用状況
4.自治体の状況
5.望まれる改善策
6.おわりに
第3章 メディア情報と震災後の行動―東日本大震災を例として[三友仁志]
1.はじめに
2.メディア情報が与えた被災地外へのインパクト
3.被災後におけるメディア情報と人びとの行動
4.分析結果
5.被災者年代別のインパクト
6.おわりに
第4章 2016年熊本地震におけるマスメディアおよびインターネットメディアの利用と知覚されるイメージ[チェン・ジョン・ウィリアム]
1.はじめに
2.2016年熊本地震
3.メディアシステム依存とメディアの知覚されるイメージ
4.方法論とデータ
5.分析結果
6.おわりに
第5章 地域放送メディアによる「力づけ」の価値[大塚時雄]
1.はじめに
2.研究の背景
3.メディアにおける「力づけ」を調査する
4.調査の実施と結果
5.おわりに
第6章 大震災時にビッグデータを活用したサービスの利用について―災害対応における「自助力」強化のために[櫻井直子]
1.はじめに:災害対応における社会の変化と研究の背景
2.大震災時にビッグデータを活用したサービスの利用に関する実証研究
3.調査結果
4.おわりに
第7章 災害時における個人情報利活用サービスに対する利用意向―運営主体と個人情報の利用方法に着目した検討[高口鉄平]
1.はじめに
2.検討のねらい
3.分析の方針と調査の概要
4.分析結果
5.おわりに
第8章 大規模災害時における放送メディアの役割と機能―東日本大震災,熊本地震,北海道胆振東部地震における検証と考察[木村幹夫]
1.はじめに
2.東日本大震災時のメディアの役割に関する調査
3.熊本地震時のメディア利用行動
4.北海道胆振東部地震
5.おわりに
第9章 シビック・メディアとしての震災アーカイブの多様な試み―311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ,3がつ11にちをわすれないためにセンター,およびリアス・アーク美術館常設展示の事例から[中嶋聖雄]
1.はじめに
2.311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ
3.3がつ11にちをわすれないためにセンター
4.リアス・アーク美術館常設展示
5.あとがき:アーカイブが震災復興と地域社会の再生に果たす役割
第10章 官民データ連携時代のICT利活用によるローカルなレジリエンス向上―日米の災害情報伝達プラットフォームの社会的受容の観点から[田中絵麻]
1.はじめに:ICTによる情報伝達と社会のレジリエンス
2.アメリカにおけるICT活用型災害情報伝達システム:IPAWS
3.日本におけるICT活用型災害情報伝達システム:Lアラート
4.おわりに:防災領域における地域情報プラットフォームの社会的受容
索引