内容説明
農村地理学は生産主義からポスト生産主義という既存のパラダイムを超えられるか。本書は、フランス中央高地を中心に「多機能レジーム」として作用する農業・農村政策の政治性に注目、ローカルな農家がどのように大きな文脈に規定され変容しているのか、多機能化による農村機能がいかにローカルで発現しているかを明らかにする。
目次
序章 「多機能化」する現代農村
一 問題の所在
二 フランス山村という研究対象
三 本書の目的と構成
第I部 農業・農村変容を捉える新たな射程
第1章 「ポスト生産主義論」から「多機能論」へ
一 はじめに
二 「農業の多面的機能」の登場と背景
三 ポスト生産主義の限界と新たな理論の模索
四 生産主義/ポスト生産主義を超えて
第2章 「多機能論」の応用と本書の視点
一 「多機能論」から農村を捉える
二 本書の視点
三 多機能論の地理学研究へ向けて
第II部 フランス農業の変容
第3章 フランス山村と農業政策
一 政策の展開
二 条件不利地域としてのフランス山村
第4章 フランス山村農業の特性─山地畜産の経営戦略
一 フランス山村農業研究の視角
二 研究対象地域
三 山村の農家経営
四 山地畜産農家の経営戦略
五 山村農業の持続とそれを可能にする要因
コラム(1):有機農業というオルタナティブな農業の実践
第5章 フランス山村農家の変容─政策による農業改変
一 マクロな政策とローカルな農家の関係解明
二 メザン地域の農業変遷
三 経営の変遷と政策
四 農家の経営分化と専門・複合化
五 農家と政策の関係
六 類型別の特性と経営と政策の関係
七 政策の力と農業経営への影響
コラム(2):小さな村の取引所─家畜市と仔牛肉
第III部 フランス農村の変容
第6章 農村と地域ブランド─農産品のローカルな伝統性
一 「地理的表示制度」とブランド化
二 フランスにおけるブランド農産品
三 ファングラ牛のブランド化と生産の展開
四 牛肉のブランド化の背景と要因
五 伝統性の強調と地理的な固有性
コラム(3):地方固有種の復権とそのシンボル化
第7章 農村とツーリズム─文化資源とランドネ観光
一 代表的な農村ツーリズム「ランドネ」
二 ツーリズムの文化資源としてのスティーブンソン
三 「スティーブンソンの道」組合と山村ツーリズム
四 旅行者からみるランドネと文化資源
五 埋もれた文化のツーリズム資源化
コラム(4):農村の休暇とツーリズムの魅力
第8章 農村と田園回帰─なぜ人々は農村へ向かうのか
一 「農村移住」現象への研究視角
二 フランス田園回帰の展開
三 ジュラ地域の農村移住
四 農村移住者の特性
五 農村移住者と田園生活への意識
六 田園生活への憧れと農村への回帰
コラム(5):フランスの農村移住者とはどのような人々か
終章 多機能論からみる農村変容のパラダイム
一 多機能化するフランス農村
二 先進国農村の将来に向けて
あとがき
参考文献
索引
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