内容説明
在日コリアンが集住する京都ウトロ地区出身。根強い民族差別を背景に、小学校時代は苛烈ないじめに遭う。中学2年の時にジャグリングに出会い、各種大会で優勝。ビートたけし氏からの助言を受け、翌日大学に退学届を提出し、プロパフォーマーとして海外で活躍。これまで82の国と地域で舞台を踏んだ。現在は大阪を中心とした学校での講演活動が話題を呼んでいる。これまでのいじめ体験、そして自らのアイデンティティに悩むも、世界での様々な出会いによって答えを見出した著者が、半生を振り返る一冊。
目次
はじめに
1・いじめと差別
2・ジャグリングとの出会い
3・世界的プロパフォーマーへ
4・ルーツを辿る旅
5・僕の「役割」
エピローグ――家
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
50
読もうと思った時から感じていたことが、タイトル。読み始めて、やっぱりそうかと思った。この国にある差別・差別感情は、どの国にもあるとは思うが、改めて認識。その中で、悩みながらも前に進んだ結果が、今のちゃんへんさん。さらに考えたこと。人に関心を持ち、人の中にはいっていくこと。ここが根っこだと思うし、ご家族の姿勢がそれを育んだのだと思う。それを、ジャグリングという世界をもとに、さらに広げている姿に未来・明日を感じる。2020/10/25
ichi-papa
47
私、この方の講演・パフォーマンスを2度見たことがあります。講演も素晴らしかったですが、この本もとっても良かったです。講演を補完している感じかな。小学生時代のいじめのこと、自分の出自・アイデンティティーのこと、自分のやるべきことについて・・・そのどれもに共感しました。とっても元気が出ました。実はこの本、図書館で借りたのですが、そばに置いておきたくて本屋さんでに注文しました。また、この方のパフォーマンスが観たいし、講演が聞きたいなあ。2020/12/05
ばんだねいっぺい
38
著者のお母さんの校長先生への啖呵にお母さんの人生が詰まっていて目頭が熱くなったし、夢のために一世一代の相談をしたときの祖父母の反応もまた、ハンカチなしでは読めない。心からヘイトスピーチをヘイトする。というか、単にやめてほしい。相手のためにも自分のためにも。2020/08/27
慧の本箱
17
中学2年でジャグリングと出会いその翌年に単身渡米。その際初めて自分の国籍問題に直面。そこから彼のアイデンティティの旅が始まります。そんな彼の素直で飾り気のない文章が綴られています。2021/08/30
あや
16
プロパフォーマーで在日コリアン3世のちゃんへんさんの自伝。小学生時代の凄絶ないじめ。愛情深いお母様。お祖父様、お祖母様の教え。海外でのパフォーマンスの経験からやがてご自分のルーツを訪ねる旅。韓国側からも北朝鮮側からも軍事境界線を訪ねる旅。サハリンの朝鮮族の悲しい歴史を知る旅。お祖父様、お祖母様の死。ヘイトスピーチとの対峙。ご自分が「架け橋」と言われるけど誰もが「架け橋」にならなければならないと説く。差別を撲滅したいすべての方に読んでほしい良書。2020/12/02