内容説明
中東の戦場を逃れて、海路、密入国して東京にたどり着いた一人の若き兵士、ターリク。武器もなく、パスポートもなく、孤独に身を潜めて大都会をさまよいながら、たまたま知り合ったロック・バンドで歌うことになる。 彼と出会い、また別れてゆく男たち、女たち。都会の砂漠で生きる彼らの心に、故郷を思うターリクの哀調を帯びた歌声がしみとおる。池澤夏樹の新境地を拓いた長編。
目次
夜の犬
老獣医
ブルー・プレート
恋の日々
夢の中の戦場
パピリオ・メムノン
静かな、誰もいない島
ローリング族の居留地
倉庫のコンサート
天井の穴から見える星
取引
都会の力