内容説明
J・D・カー生誕百周年の記念祭に伴い日本に上陸した幻の本――とある未解決犯罪実録集に、カーが解決を示唆する走り書きを残したことによって『カーの設問詩集』と呼ばれている一冊だ。そこには、巨匠は真相に至ったものの、なぜか未解決のままとなっている「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれる不可能犯罪の概要が載っていた。この書物を持ち主から借り受けた大学生・友坂は、所属するゼミの教授や友人たちを別荘に集めて推理合戦を楽しむが、彼らは想像しえない“不可能犯罪”の渦中に巻き込まれる。短編「ジョン・D・カーの最終定理」を完全改稿のうえ長編化した傑作ミステリ。/解説=宇田川拓也
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aquamarine
79
カーが挑み、謎を解き明かしたとされる不可能犯罪。推理の断片である書込みのみを残し真相が失われたそれは、「ジョン・ディクスン・カーの最終定理」と呼ばれていた。日本でその謎に挑もうと合宿を行う学生たち。その最中に不可能と思われる殺人事件が起こる…。好みが分かれそうだが、私はカーが解き明かしたとされる事件2つも、学生殺人事件も、数学的断片から謎が解き明かされていくパズルの嵌まる感覚が最高だった。ラストはどう転ぶか自分の心臓の音が聞こえそうなほどドキドキしたが、想像以上の映像的ラストが大きな余韻を置いていった。2020/10/21
三代目けんこと
50
「創元推理文庫」第4弾は、柄刀一。これは、ミステリ好きの自分にとってはたまらない一冊だった。最後の対決シーンも良かった。では次へ…。2021/07/27
ち~
41
迷宮入りとなった事件が集められた書物に記された、カー直筆の推理メモ。それを元に自らも事件を解くべく集まった大学生達。しかし、その中で殺人事件が発生する。カーが解いた難解な事件2つと、併せて3つの謎解きが楽しめる贅沢な一冊!最初は説明やらで読み辛いが、それを乗り越えた後のご褒美、謎解きはサイコーだった!いい意味で『キモチワルイ』ラストがジワる。 2021/06/05
geshi
37
『J・D・カーの設問詩集』と呼ばれる実録犯罪集に挑む部分と、現在に起こる不可能犯罪の部分の二つが交差しながら徹頭徹尾謎解きに淫するミステリ。構成がもうちょっとスッキリできなかったか?とは思うが、魅力的な謎に対するカーの推理を解読しようとする傾倒が濃密。過去の事件の数学的解法も次元を転換するトリックもよく出来ていて、カーの歴史ミステリと絡めていくまとめ方も見事。現実の事件にこの二つのトリックを反映させて、考えられているなぁ。ロマンと幻想を抱いて締めるラストまでカーへのリスペクトに満ちている。2020/09/14
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
31
本格ミステリーとは、絶対不可能な犯罪をこれからこういうふうに行えば可能であり、決して超常現象ではない、という解決を教えてくれる小説の事である。というのが私自身の本格ミステリーの定義。カーの最終定理とは、人体発火事件の事。人が燃えているのに絨毯や床が燃えてない。燃え残ったのは腕一本だけでそこだけ焼けてない。そこにどう実際的な方法を見つけるか。という謎を解くために集まった大学生たち。そこで起きた解き難い殺人事件。説明だけで字数オーバーになりそうだが、答えはあるのだ。柄刀作品に流れる少し妖しげな雰囲気もよい。2021/01/07
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