日本経済新聞出版<br> 統計 危機と改革 システム劣化からの復活

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日本経済新聞出版
統計 危機と改革 システム劣化からの復活

  • ISBN:9784532135089

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内容説明

30年にわたる経済の停滞と、それに対して的確な対処が出来なかった一つの理由は、日本経済の急速な構造変化を経済統計が的確に捉えていなかったことだ。1990年代以降に統計を通じた十分な構造変化の把握をしてこなかったために起こった第2の「敗戦」が、現在の停滞であるとも言える。
本書は、GDPの精度改善、統計カバレッジの向上から「毎月勤労統計」問題、統計作成技術の改善まで、日本の統計の課題とその問題解決のための統計改革について、改革の司令塔の前統計委員会委員長を中心に解説。エビデンスにもとづく政策を実現するために不可欠な改革策を具体的に示す待望の統計改革ガイド。
●日本の統計の5つの問題点
1.景気判断のもととなるGDP(四半期GDP速報<QE>)や景気関連統計のブレ(ノイズ)が大きい
2.統計のカバレッジが十分ではない: GDPが経済活動を十分に捕捉できていない
3.インフレ率の推計精度が十分ではない
4.日本経済の成長力(潜在成長率・生産性)を正確に評価できていない
5.統計作成プロセスが、日本の社会経済の構造変化に対応していない

目次

はじめに――「統計危機」灰燼からの再出発

 第I部 改革頓挫の歴史と新制度改革
第1章 なぜ統計改革が必要なのか:経済統計への批判と対処
第2章 現行統計制度の問題点:統計改革で何が変わるのか

 第II部 基礎統計調査の全面見直し
第3章 景気関連統計(動態統計)の精度改善 
第4章 「毎月勤労統計」問題への対応
第5章 統計のカバレッジ改善を目指して

 第III部 GDP推計の抜本改革
第6章 四半期GDP速報(QE)の精度向上
第7章 GDP年次推計の改善
第8章 GDPの実質化問題とサービス物価統計改革

 第IV部 「市場」抜き新経済活動と統計作成技術の革新
第9章 新しい経済活動をどのように捕捉するか
第10章 統計作成技術の革新を目指して

おわりに――「民主的な情報に根ざした国家」の礎として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yuno

6
GDPの精度改善のために2014年から著者らが取り組んできた統計改革の話。統計委員会の機能強化といった組織論に始まり、QEのブレ、年次推計の精度向上のため、SNAの基になる一次統計等の集計方法の変更や推計方法の改善について議論する。毎勤問題はそうした改革の最中に発生したもので、分散型統計機構という体制の弱さを考えると起こるべくして起きた感じがある。ビッグデータや税務データの利用にも触れられている。SNAの作成方法に関する勉強にもなる一方、現行統計の問題点が良く分かり、怖くて統計が使えなくなりそうである。2021/04/16

2
ノイズの問題を抱えるGDPの精度向上にはコペルニクス的な発想の転換が必要だったとのこと。データの信ぴょう性が統計結果に与える影響は大きい。加えて、統計の不正問題についても考えなければならない。統計製作者の弱体化というテーマは面白かった。ローテーション・サンプリングの導入は読み応えがある。こういった改革があってこその統計だと思った。2020/09/27

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