岩波新書<br> マックス・ヴェーバー - 主体的人間の悲喜劇

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岩波新書
マックス・ヴェーバー - 主体的人間の悲喜劇

  • 著者名:今野元
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2020/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318347

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内容説明

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をはじめ,今も読み継がれる名著を数多く残した知の巨人マックス・ヴェーバー(一八六四―一九二〇).その作品たちはどのようにして生み出されてきたのか.百花繚乱たるヴェーバー研究に新たな地平を拓く「伝記論的転回」をふまえた,決定版となる評伝がここに誕生!

目次

はじめに――「闘争」の政治学

第一章 主体的人間への成長 一八六四-一八九二年
1 絶頂の西洋・勃興するドイツでの誕生
2 自由主義政治家の家庭での生活
3 プロテスタント世界での知的冒険
4 学校での精神的・身体的成長
5 プロイセン軍での鍛錬

第二章 社会ダーウィニズムへの傾倒 一八九二-一九〇四年
1 法学博士号・教授資格の取得
2 ドイツ東部農業論からポーランド人労働者排除論へ
3 法学から経済学への重心移動
4 フライブルク講演『国民国家と経済政策』
5 ハイデルベルクでの変調と教職からの早期引退

第三章 ドイツ社会への苛立ち 一九〇四-一九一四年
1 アメリカ旅行でのドイツ人意識の強化
2 禁欲的プロテスタンティズムの分析
3 人種論への更なる興味
4 「市民層の封建化」批判
5 「官僚制」批判
6 学問のあり方をめぐる論争
7 ロシア自由主義派への愛憎
8 西洋近代から見た普遍史の展望
9 「ハイデルベルクのミュトス」と相次ぐ紛争

第四章 ドイツの名誉のための闘い 一九一四-一九二〇年
1 世界大戦とドイツ文化の自己保存
2 戦争遂行のための内政改革構想
3 ドイツの道義的糾弾への抗議
4 国民国家再建のための共和国制構想
5 ミュンヒェンでの一瞬の輝き

終 章 マックス・ヴェーバーとアドルフ・ヒトラー

おわりに ヴェーバー研究の伝記論的転回

主要文献一覧
図版出典一覧
マックス・ヴェーバー略年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

135
中公新書に引き続いてのマックス・ヴェーバーについての評伝です。こちらの方が彼の人間性をよく表しています。私などはどちらかというと彼の書物からのイメージしか思い浮かばないのですが中公新書とこの本である意味はだかの姿が見えてきます。意外と攻撃的で保守的な性格であるということがよくわかりました。ヒトラーとの関連も書かれています。2020/06/16

trazom

65
私にとって、この本はとても後味が悪い。確かに、私たちは「マリアンネの呪縛」に縛られ、求道者としてのヴェーバーの幻想に囚われているのかもしれない。だから、ポーランド人排斥論や社会ダーウィン主義を唱え、カトリックの劣等性を主張するヴェーバーをあえて強調し、「ヴェーバーとヒトラー」という一章まで設ける著者のスタンスは、とても辛く感じる。多分、これが正しいのだろう。でも、私は「音楽社会学」で音楽的エートスを論じるようなヴェーバーの心映えが好きだ。本書も山之内靖先生も、岩波新書は、その論文に一切言及しないけれど…。2020/07/29

skunk_c

63
こちらは彼の人生とその時々の発言、主張、考え方などをほぼ時系列に丹念に追った伝記なのだが、そこからあぶり出される人物像がなかなか強烈。主体性と闘争を人生の中央に据えているようで、感じたことをはっきりと表明する潔さは、しばしば舌禍事件に近い状況を生んでいたようだ。ご本人がメンタルを痛めるのもひょっとするとこの強さによる自家中毒かと思ってしまうくらい。本書はがっつりとヴェーバー自身の思想を取り上げており、大塚久雄あたりで「理想化」された「虚像」を粉々に打ち砕く感じ。中公新書の評伝と併読して大正解だった。2020/09/27

パトラッシュ

49
本書で描かれるヴェーバーはお近づきになりたくないタイプだ。外国人差別を当然視する不屈のドイツ・ナショナリスト、気に入らねば恩師や家族とすら喧嘩し、男尊女卑で社会ダーウィニズムに傾倒する。それらが容認されていた時代の子とはいえ、同世代人は付き合いにくかったに違いない。しかし裕福な家に生まれ、他人を「かくあらねばならぬ」と上から目線で説教する資格があると疑わないヴェーバーは孤立しがちだったが、どん底を知るヒトラーは同じような政治観を抱きながら人々をまとめ上げる力があった。ヒトラーは有能なヴェーバーだったのか。2020/09/26

フム

44
今年で没後100年という事で、題名の同じ新書二冊の出版が話題だった。図書館でその一冊、岩波の方を見つけたので読んでみた。著者がはじめに書いているように、個別の作品の鑑賞ではなく、それを生み出した文脈、つまりヴェーバーの生涯とそれを取り巻く歴史を解明したもの「伝記論的転回」だという。そのために、ヴェーバーの人間くさいエピソードが数多く書かれていて興味深く読んだ。まさに副題になっている「主体的人間の悲喜劇」である。人間の主体性の追求こそが、ヴェーバーの人生を貫くテーマだという。2020/10/30

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