岩波文庫<br> 大乗仏教概論

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岩波文庫
大乗仏教概論

  • 著者名:鈴木大拙/佐々木閑
  • 価格 ¥1,386(本体¥1,260)
  • 岩波書店(2020/09発売)
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  • ISBN:9784003332344

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内容説明

大拙の英文著作のデビュー作.大乗仏教の核心を経典類に拠りながら二分野に分けて論じる.形而上学,思弁の学としての「思索的」な面と,教えに基づく実際の信仰の在り方,究極的な目的である衆生済度に至る道程としての「実践的」側面である.本書により,初めて本格的に大乗仏教が西洋に紹介された.M.ウェーバーを始め,欧米の研究者に大きな反響を呼んだ.(解説=石井修道)

目次

目次
凡例

序論
第1節 大乗仏教と小乗仏教
なぜ二つの教義があるのか
大乗仏教の原初的意味
古いかたちの仏教徒の分類
大乗仏教の定義
第2節 大乗仏教は仏陀の真の教えか?
成長しない生命など存在しない
生きた信仰としての大乗
第3節 大乗仏教の教義に関する誤った説
なぜ仏教は誤解されるのか
不公正の諸例
モニエル・ウィリアムス
ビール
ワッデル
第4節 宗教の重要性
啓示宗教はない
神秘
知性と想像力
信仰の内容は多様である
第1章 仏教の一般的特性
無神、無霊魂

無明
無我
事物の無我性
法身
涅槃
仏教の知的傾向
第2章 大乗仏教の歴史的性格
堅意の大乗仏教観
大乗仏教の七つの主要な特性
仏教の十の本質的特徴
思索的大乗仏教
第3章 実践と思索
宗教における情緒と知性の関係
仏教と思索
宗教と形而上学
第4章 知識の分類
知識の三つの形態
妄想(遍計所執性)
相対的知識(依他起性)
絶対的知識(円成実性)
三種の知識に基づく世界観
知識の二つの形態
超越的真理と相対的理解
第5章 真如(bh tatathat )
限定不可能性
雷のごとき沈黙
条件付きの真如
解決を拒む疑問
無明論
二元論と道徳的悪
第6章 如来蔵とアーラヤ識
如来蔵と無明
アーラヤ識とその展開
意(マナス)
サーンキヤ哲学と大乗仏教
第7章 無我説
我(アートマン)
仏陀による探究の出発点

ミリンダ王とナーガセーナ
阿難による霊魂探究
アートマンと「オールドマン」
ヴェーダーンタの概念
龍樹の霊魂観
事物の無我性
自性
空の真の意義
第8章 業
定義
業の働き
業と社会的不公平
業の個人主義的見解
業と宿命論
善根の成熟と福徳の蓄積
不減性
実践的仏教
第9章 法身

法身
宗教的対象としての法身
より詳細な特徴付け
法身と個々の生き物
愛としての法身
法身に関する後代大乗仏教徒の見解
法身の自由性
法身の意志
第10章 三身説(仏教の三位一体説)
人間としての仏陀と超人的仏陀
歴史的見解
仏陀とは誰だったのか
『金光明経』における三身
文化のあらゆる場面における顕現
報身
単なる主観的存在
現代の大乗仏教徒の態度
概括
第11章 菩薩
三乗
厳格な個人主義
廻向説
「原始」仏教における菩薩
我々はすべて菩薩である
仏陀の生涯
菩薩と愛
菩提と菩提心の意味
愛と悲
菩提心に関する龍樹と堅慧
菩提心の覚醒
菩薩の誓願
第12章 菩薩道の十段階 我々の精神生活の階梯
(1)歓喜地(pramudit )
(2)離垢地(vimal )
(3)発光地(prabh kar )
(4)焔慧地(arci?mat ) 
(5)難勝地(sudurjay )
(6)現前地(abhimukh )
(7)遠行地(d ra?gam )
(8)不動地(acal )
(9)善慧地(s dhumat )
(10)法雲池(dharmamegh )
第13章 涅槃
第一目標にあらざる虚無的涅槃
涅槃は積極的なものである
涅槃の大乗的概念
法身としての涅槃
第四の意味における涅槃
涅槃と輪廻は一体である
中道
いかにして涅槃を実現するか
愛は智慧を覚醒させる
結論
付録 大乗讃歌

訳注 (佐々木閑)
訳者後記 (佐々木閑)
解説 (石井修道)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

29
禅の大家と知られる著者が、明治期渡米した際、欧米に溢れる仏教の誤解を解こうと、英文で著した本書を邦訳。主にキリスト教徒へ向けたもののため聖書を引用、比較することが多い。ただ皮肉なことに、訳者や解説の通り、著者の誤解や誤認、独自の解釈が少なくなく、大乗仏教の概論というよりは、日本教、ひいては「大拙経」というべきもので、著者当人が、再販や翻訳を禁じたというのも無理もないが、個人的にはこれもありなんじゃないかと思うほど、愛(悲)の発露なくて、どうして他人様を導けようか。2023/01/04

テツ

18
鈴木大拙による大乗仏教の概要。どんな事柄でも語る人間の主観により大なり小なり本来のコトやモノからのズレは生じてしまうので、あくまでも鈴木大拙の宗教観だと踏まえた上で読まなければならない。大乗の修行の目的は自分独りで悟りに到達し解脱することではない。その末に人々を救うために、それが叶う人間となるために身も心も全てを捧げ全身全霊で修行をする。一切衆生を救うという望み自体が煩悩に塗れたエゴではあるのだけれど、それでもそうした強い狂気にも似た想いには強さと美しさが輝いて見える。2022/01/11

OjohmbonX

13
400ページにわたる大乗仏教に関する西欧の誤解の批判とコア認識の解説を読み終えたと思ったら、訳者後記で「この本は誤謬だらけで、事実誤認と都合の良い取捨選択で成立しており大乗仏教の解説ではない」と全否定されていて、でも「これが真の仏教」みたいな顔で自説を展開するのが経典だから「大拙大乗経」だと思えば偉大、って擁護が入ってほっとしてたら、続く解説で「実はこの本は別の人の本のパクリです」って指摘が紹介されて自説の展開ですらない、えっ、じゃあ俺が読んでたのはいったい何だったんだ、と途方に暮れる、すごい体験だった。2016/10/23

モリータ

7
37歳の鈴木大拙が英語で海外出版したものの和訳。岩波だし簡潔・客観的な入門書にいいだろう、と思って手にとった。が、訳者(佐々木閑氏)あとがきを読むと、学説上の誤り(根本経典の年代が下ることなど)や主観的教理解釈が多分に含まれており、現代の入門書としては読めない(一種危険な本である)ことがわかる。当時の西洋の仏教理解に対して著者が打ち出した「大拙教」として味わうとか、オーソドックスな大乗仏教との対比や後期密教やヒンドゥー教の影響を考えるとか、ちょっと高度な楽しみ方ができればと思いますが、私にはまだムリです。2018/03/22

roughfractus02

6
1907年英文で書かれた最初期の著作である本書は、ベルギーの仏教学者プサンに、日本仏教からの大乗解釈であり、内容もヴェーダーンタ的なヒンドゥー哲学寄りであると指摘され、その後著者がヒンドゥー的思想面から日本仏教的実践面に重心移動する書物を書く契機となったとされる。一方本書は、歴史上の小乗との対立を取り外し、多様な解釈を引き起こす仏陀の教えを含めた経典作者達の「神秘的感情」の伝達過程として大乗仏教を捉え直す点にある。その伝達過程に参入する著者は、大乗に衆生に潜在する「菩薩心」覚醒の実践というテーマを見出す。2021/02/27

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