内容説明
大拙の英文著作のデビュー作.大乗仏教の核心を経典類に拠りながら二分野に分けて論じる.形而上学,思弁の学としての「思索的」な面と,教えに基づく実際の信仰の在り方,究極的な目的である衆生済度に至る道程としての「実践的」側面である.本書により,初めて本格的に大乗仏教が西洋に紹介された.M.ウェーバーを始め,欧米の研究者に大きな反響を呼んだ.(解説=石井修道)
目次
目次
凡例
序
序論
第1節 大乗仏教と小乗仏教
なぜ二つの教義があるのか
大乗仏教の原初的意味
古いかたちの仏教徒の分類
大乗仏教の定義
第2節 大乗仏教は仏陀の真の教えか?
成長しない生命など存在しない
生きた信仰としての大乗
第3節 大乗仏教の教義に関する誤った説
なぜ仏教は誤解されるのか
不公正の諸例
モニエル・ウィリアムス
ビール
ワッデル
第4節 宗教の重要性
啓示宗教はない
神秘
知性と想像力
信仰の内容は多様である
第1章 仏教の一般的特性
無神、無霊魂
業
無明
無我
事物の無我性
法身
涅槃
仏教の知的傾向
第2章 大乗仏教の歴史的性格
堅意の大乗仏教観
大乗仏教の七つの主要な特性
仏教の十の本質的特徴
思索的大乗仏教
第3章 実践と思索
宗教における情緒と知性の関係
仏教と思索
宗教と形而上学
第4章 知識の分類
知識の三つの形態
妄想(遍計所執性)
相対的知識(依他起性)
絶対的知識(円成実性)
三種の知識に基づく世界観
知識の二つの形態
超越的真理と相対的理解
第5章 真如(bh tatathat )
限定不可能性
雷のごとき沈黙
条件付きの真如
解決を拒む疑問
無明論
二元論と道徳的悪
第6章 如来蔵とアーラヤ識
如来蔵と無明
アーラヤ識とその展開
意(マナス)
サーンキヤ哲学と大乗仏教
第7章 無我説
我(アートマン)
仏陀による探究の出発点
蘊
ミリンダ王とナーガセーナ
阿難による霊魂探究
アートマンと「オールドマン」
ヴェーダーンタの概念
龍樹の霊魂観
事物の無我性
自性
空の真の意義
第8章 業
定義
業の働き
業と社会的不公平
業の個人主義的見解
業と宿命論
善根の成熟と福徳の蓄積
不減性
実践的仏教
第9章 法身
神
法身
宗教的対象としての法身
より詳細な特徴付け
法身と個々の生き物
愛としての法身
法身に関する後代大乗仏教徒の見解
法身の自由性
法身の意志
第10章 三身説(仏教の三位一体説)
人間としての仏陀と超人的仏陀
歴史的見解
仏陀とは誰だったのか
『金光明経』における三身
文化のあらゆる場面における顕現
報身
単なる主観的存在
現代の大乗仏教徒の態度
概括
第11章 菩薩
三乗
厳格な個人主義
廻向説
「原始」仏教における菩薩
我々はすべて菩薩である
仏陀の生涯
菩薩と愛
菩提と菩提心の意味
愛と悲
菩提心に関する龍樹と堅慧
菩提心の覚醒
菩薩の誓願
第12章 菩薩道の十段階 我々の精神生活の階梯
(1)歓喜地(pramudit )
(2)離垢地(vimal )
(3)発光地(prabh kar )
(4)焔慧地(arci?mat )
(5)難勝地(sudurjay )
(6)現前地(abhimukh )
(7)遠行地(d ra?gam )
(8)不動地(acal )
(9)善慧地(s dhumat )
(10)法雲池(dharmamegh )
第13章 涅槃
第一目標にあらざる虚無的涅槃
涅槃は積極的なものである
涅槃の大乗的概念
法身としての涅槃
第四の意味における涅槃
涅槃と輪廻は一体である
中道
いかにして涅槃を実現するか
愛は智慧を覚醒させる
結論
付録 大乗讃歌
注
訳注 (佐々木閑)
訳者後記 (佐々木閑)
解説 (石井修道)
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