内容説明
ゲノム医療が本格的に始動した今,その成果を反映させ患者さんに合った治療を行うための分子標的薬開発の重要性が増しています.本書では,分子標的薬とそれを支える診断技術研究の最前線を解説します.
目次
第1章 新しい標的
1.融合遺伝子によるがんと治療薬―NTRK融合遺伝子
2.RAS標的治療の夜明け
3.がん細胞の代謝を標的とする治療戦略の可能性
4.DNAとヒストンのメチル化を標的とした抗がん剤の開発
5.腸内細菌叢を標的とした新規がん治療法
6.細胞内分子変動情報を活用したドラッグリポジショニングとその拡張
7.進歩するADC(抗体薬物複合体)
8.核酸医薬
第2章 ゲノム医療時代のコンパニオン診断薬開発の在り方
1.これまでのコンパニオン診断薬(CDx)の考え方
2.「横断的コンパニオン診断薬」とはなにか
3.マルチコンパニオン診断
4.バイオマーカーに基づく臨床試験―マスタープロトコール,バスケット試験,アンブレラ試験
5.コンパニオン診断におけるLiquid Biopsyの可能性
6.Liquid Biopsyの臨床応用―がん種による違い,MRDモニタリングなど
第3章 遺伝子パネル検査を分子標的薬から考える
1.殺細胞性抗がん薬の位置づけ
2.希少がんのための個別化治療開発:MASTER KEYプロジェクト
3.パネル検査による併用療法―安全性・現状と今後の展望
第4章 より精密ながんゲノム医療を目指して
1.ドライバー遺伝子の定量化
2.非小細胞肺がんのドライバー遺伝子を標的とした分子標的薬
3.非ドライバー遺伝子を標的とした分子標的薬
4.免疫チェックポイント阻害薬と分子標的治療薬の併用
5.抗体医薬品のプレシジョンメディシン―低分子薬剤との対比の観点で
第5章 耐性メカニズムとその克服方法
1.チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)耐性の分子機構アップデート
2.血管新生阻害剤に対する耐性獲得メカニズム
3.免疫チェックポイント阻害剤の耐性メカニズム
第6章 未来志向の分子標的薬
1.創薬に向けた大規模全ゲノム解析プロジェクト
2.人工知能を活用した創薬やヘルスケアへの展開
3.p53を標的とするがん治療薬
4.PDCはがん治療展開の新たなカードとなりえるか?
5.標的タンパク質を分解する新しい低分子医薬モダリティ