内容説明
現在においても公認文化から排斥され、深層に抑圧された無意識的な概念の表出する舞台であるオカルティズム。それは近代ヨーロッパにおいて社会ダーヴィニズムと接合し、とりわけナチ・ドイツにおいて、フェルキッシュな人種論として先鋭化、ついには純粋アーリア=ゲルマン人種のホムンクルスを造らんとする計画が「生命の泉」で実行に移されようとするまでに至る。その全体と本質を初めて明らかにした幻の名著がついに増補再刊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
62
人種には優劣があり、劣等種は抹殺するというナチの人種論のオカルト面の源流を辿った本。ナチ政権下の「異常な事態」は抑圧されてきた欲望と恐怖の噴出なのだと作者は言う。それは独墺、特に多民族国家オーストリア=ハンガリー帝国でのドイツ民族の優位に対する不安で、自民族の優越性を「証明」するため伝説や霊感に進化論等の科学を絡めた暗い妄想の展開が語られます。それは「己れの優越性、他者の劣等性の根拠を渇望する」心が育むもので、本書が剔抉する異形の像は確かに「私たちの無意識の欲望」の一端を拡大した姿なのだろうと感じました。2023/08/04
HANA
58
名著中の名著。旧版は何度読み返したかわからない。19世紀終盤から20世紀初頭にかけての欧州でのオカルティズムと社会ダーウィニズムの結合。それがナチスとなって噴出するまでの軌跡を丹念に追っていく。改めて読んで思ったのは『進化論』の進化に対する退化への恐怖と嫌悪が当時の欧州を覆っていた事。ここでは『神聖動物学』や根源人種が挙げられているが、個人的にはラヴクラフトの初期作品を思い出した。「アーサー・ジャーミン卿~」とか。とあれナチス成立前夜から渦中での悪夢をもう一つの通史として拾い上げた作品、是非読むべきです。2025/02/12
さすらいの雑魚
9
いまだ類書は未見の増補再刊納得な永く読み継がれるべき書物。不潔で不快だが魅惑的で心惹かれずにいられない秘教的人種主義の薄暗い系譜とナチズム生成へと至る裏面史を活写。稗史が正史を侵食し悪夢が現実を食い潰しゆく様がボクの歪んだ嗜好性癖を刺激する(^_^;) トゥーレ協会やアーネンエルベについて詳述する箇所は必見と思う。2021/01/10
塩崎ツトム
7
アトランティスとかムーとかを日本人は結構無邪気にファンタジーのネタに使ってきたし、ディズニーだってそうだけど、そこにはこんなどす黒い邪悪なオカルト人種論があったんやで。2021/01/09
らむだ
5
オカルティズムな思想・人種主義的な思想・フェルキッシュな思想たちが、互いに混ざり反発し合いながらどのような思想を育み、どのような時代の流れを生み出したのかを豊富な資料と共に詳らかにした名著。やがてドイツ第三帝国へと接続していく西洋のオカルティズム・人種主義の流れを追いながら、丁寧に歴史を辿る。2022/08/21
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