内容説明
突然の火星緑化をもたらしたのは一人の女性の無意識だった…。地球・火星をめぐる近未来恋愛SF作品。第5回日本SF新人賞受賞作。
「俺、クローンだよ」「キョウイチも?」「も?」「うん。わたしもクローン」…。医療ナノマシン機器メーカーに勤務するキョウイチは、仕事のために訪れたカウンセリング施設で、研修生のユンとその恋人マークに出会った。キョウイチは、天衣無縫なユンに次第に惹かれていく自分に気づく。そしてこの懊悩は、お互い共に、“オリジナル”ではないことを知り頂点を迎える。やがてユンは、臨床心理エンジニアとして赴任するマークと一緒に、火星へと旅だった。その半年後、火星は突如として緑の星に変貌し、独立運動を背景とする反乱が勃発する。キョウイチは連絡の途絶えたユンたちを探すため、軍に同行し、火星へと赴く。そこは、思念が現実化する、異様な世界であった…。第5回日本SF新人賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すしな
14
002−22.去年の12月に自ら命を絶たれた作家さんの作品というので読んでみました。死ねない猫が宇宙を漂っていて、その猫が寂しさを紛らすために見ている夢が人の一生という寓話をベース進んでいくSFです。そういった生死感は暗示的なものを感じなくもないですが、二重スリット実験といった物理や哲学の難しい内容もありますが、ナノマシーンや人型のロボットスーツなんかも出てきて楽しめました。2022/01/05
niisun
14
日本SF新人賞を受賞している2004年の作品。あまりSFモノは読まないのですが、たまに読むと新鮮で良いですね。しかも、自分と同い年の作家さんが書いていることもあってか、SFの世界観が自分の想い描くものと近く、頭にすんなり入って来ます♪ ナノテク、平行世界、火星移住、誰かの夢、etc・・・と、多少アイテムはステレオタイプのような気もしないではないですが、最後まで読ませる登場人物や物語そのものの魅力があるように想います。2015/04/12
ひさか
3
お話の中で語られるフレーズがタイトルになっています。 ありがちなアイデアなんですが、ハードに、そしてファンタジックに、とても興味深く、面白い世界が語られます。楽しめました。読まないと後悔するお話です。2014/03/23
The lost FRIGATE
2
〈★★★★★〉Kindleセールにて。やっぱり火星ってどうしても夢がある。火星の人はまたちょっと違うけど、俺の中で火星ってとてつもなく切なくてロマンチックで物悲しくて強く揺さぶられるイメージ。まぁ、ナデシコとかクリュセの魚のせいなんだけど。その一つに加えたい本作。切ない、ホア可愛い、気付いてないふりをしてたり、思ってても言えなかったりの恋心みたいなのがたまらなく好きなので、どストライク。良かった2020/12/27
ウタマキ・コウ
1
最後の夢見る猫が云々は、必要なのかなあ。なくても良いような、ある方が面白いような。 2006/04/06