内容説明
天正10年6月、明智光秀は1万2000の軍勢を率いて丹波亀山城より出陣した。天下人・織田信長の命で、備中高松城を包囲する羽柴秀吉の後詰をするためだ。波瀾に満ちた我が人生と、亡き妻・煕子の献身に思いを馳せる光秀。思えば、信長に仕えてからの14年余――魔王の如き主の所業の陰には、常に自分がいた。「今は戦国乱世、闇に覆われた世だ。乱世の闇を掃うには、より巨大で濃い闇が求められる」。第六天魔王・信長の先達として駆け抜けた光秀の胸に、今、去来するものは……。
福井新聞好評連載、書籍化。
【目次】
第一章 疑惑
第二章 信長
第三章 魔王
第四章 決別
第五章 惟任
第六章 献身
第七章 決意
最終章 謀反
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
45
初めての作家さん。読みごたえがあっておもしろかった。光秀と信長の関係がこれまでの諸作品とは違って、凄みがある。次作にも期待。2020/08/05
sg
11
通算4357人目の光秀さんに出会えました。そうか・・・光秀さんが亡くなった時に信長さんの時代は終わったのか・・・なるほど。謎多き男明智十兵衛光秀。だからこそ妄想も相俟ってドラマチックな話になる。誰が正義で誰が悪か訳分からん戦国時代を代表する訳分からん光秀さん。光秀さん主人公のお話はフィクションでも切なくなるね。光秀さんなら、鳴かぬなら何だったんだろうなホトトギス。2021/06/17
あここ
7
黒い明智さん。信長に天下統一させて戦のない平和な国を作る…そのために魔王に仕立てる。自分が信長を操るって思ってるようやった。本気か?信長さんが言いなりになると思ってるんか?甘いわ。見る目足りひんわ。もう一息って感じ。信長の暴走も芯から冷徹になれへんことも秀吉の狡猾さも分かってなくて、どんどん残念に向かってく。びっくりするほど仲間に好かれてへんのも痛い。藤孝さんも味方してくれへんの。どうゆう気持ちやったんかなぁ…円也の存在が面白かった。何でこんなに尽くすんか、信用できるんか。結局、自爆してもうた感じやなぁ…2021/01/21
熱東風(あちこち)
4
よく調べているし、独特の視点は中々に面白かったけど、人物造形は私には合わなかった。戦国時代を生き抜いて名を成す人物が100パーセント善人であるはずもないので、腹黒い面があってもおかしくはないんだけど無理に光秀を悪っぽく見せる必要はあったのかな、と。/あと、結果から逆算したような描写もあったりで、所々突っ込みたくなる点も。/難しい描写もなく、淡々と読めるので、今年(2020年)の大河ドラマに影響を受けて明智光秀の本を読みたくなった人は手に取ってみるのも一興ではないだろうか。2020/10/21
tako_machida
3
光秀と信長の関係が独特で興味深く読めました。妄想というか精神異常というかが、違和感なく、こんな解釈があっても良いかもと思いました。2020/10/26