内容説明
英米の覇権交代、共産主義のアジア進出、日本の敗北と復興。そして米中接近の時代へ――。イギリス、アメリカ、フランス、ロシア、ドイツ、そして日本。列強各国はいかなる思惑と戦略によって動き、歴史を動かしたのか。本書が対象期間とする1902年から1972年における大きな背景の一つは、イギリスの「アジアからの撤退」である。つまり「光栄ある孤立」を脱して日英同盟(1902年)を結び、日中米を操作しつつアジアでの帝国の維持に踏み切ったときから、それを最終的に諦めて撤退を決意し、ニクソン訪中(1972年)という次の数十年、アジアの国際秩序を規定することになる劇的な出来事とちょうど時を同じくした「アジアにおける大英帝国の消滅」までを一つの時代として見る試みである。かつてないほどアジアが変化した70年間の歴史潮流を学び、今後を予測して平和構築に生かすために。中西輝政氏と門下生による近代史・外交論の英知が編まれた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TS10
15
日英同盟が締結された1902年から、イギリスのスエズ以東からの撤退が完了する1972年頃までの期間における、アジアでの大国の角逐に関する論文集と座談会。やはり冒頭の中西論文が本書の白眉であろう。中西は、イギリスからアメリカに覇権が移行する際、金融や資源、海軍比率等を巡り両者が激しく対立していたことを強調し、英米協調を前提とするワシントン体制論に疑義を投げ掛ける。その様な状況下で、チャーチルが対米開戦の可能性に言及した逸話は衝撃的である。また、末尾の座談会も極めて興味深い内容だった。2024/06/02
バルジ
5
中西輝政門下の若手・中堅研究者が参集した豪華な論集。主だった大国の角逐の舞台として翻弄されたアジアをメインに各大国の対外政策や行動原理を抉る。本書で非常に面白いのは入江昭・細谷千博両氏が唱え日本外交史の通説的なワシントン体制論に全面的な疑義を呈している点。巻頭の編者中西輝政の論考は「英米協調」というワシントン体制理解の基本に対し金融利害や覇権交代を巡り両国が決して一枚岩では無かった姿を明らかにする。この英米の「協調」については太平洋戦争へと進む中での「英米可分・不可分」論争にも関わる論点なため興味深い。2020/09/13
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