内容説明
いにしえより鳥は想像をかき立てる存在として、人の文化とも深いつながりをもつ生き物だった。人は鳥とどのように接してきたか。単なる身近な生物を超え、象徴的に各地の伝承やさまざまなイメージに刻み込まれた姿や遺物などから、受容の歴史や人との関わりの様相を俯瞰。日本人との関係を中心に、有史以来、連綿と続いてきた鳥との接点を独自の視点で紹介し、鳥の新たな一面を解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukision
26
タイトルは固いが,鳥に関するトリ(!)ビアや豆知識が詰め込まれていて,へぇ~の連続。日本でのオウム(インコ)の歴史も意外に古く,「オウム返し」は鎌倉時代初期の書物にあるそう。江戸時代には「孔雀茶屋」「花鳥茶屋」という鳥カフェが既にあったとは。全章非常に興味深かったが,最後の絶滅した鳥の章は辛かった。3メートル超えの鳥,見たかった。2020/01/08
さぶろうの領土
3
鳥という生き物を、人間との関わりという観点から論じた一冊。人はいつから鳥を飼っていたのか、鳥とはどういう存在だったのか、鳥はどう利用されてきたのか、他にも名付けについてや、さえずり、紋章や家紋の中のデザインまで。多岐にわたるテーマを豊富な資料によって多角的に解説している。文章も小見出しで短く区切って書かれているのでとても読みやすい。各章ごとの参考文献が載っているので、各章を深掘りしたい時に資料を当たりやすい。さえずりの章と、名付けの章の参考文献は特に興味があるテーマなので参考文献もあたってみたいと思う。2022/12/30
セヱマ
3
神話の時代からも身近にあった鳥。恐竜時代からも数えれば人類より遥かに永く地球に生きてきたセンパイなのだ。私たち人類は、鳥センパイの鳴き声や踊りやしぐさから学び、美しさに憧れ、さらには美味しくいただいてきた。 最近になってその魅力を知り、より自然が身近な存在と思われるようになった。絶滅に追い込んでしまった種も多数。鳥は身近であるが、野生であり、自然の具現でもある。2020/03/17
saba
1
鳥と人の描写って確かに昔からあるんだなー。神話に伝説、双頭の鷲の紋章、「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠にこめたりつるものを」とかね(=野育ちでない貴族の血筋の女の子でも捕まえられるほど人に近い、と判断できる)。テーマごとに広くさらっと読めて面白かった。鳥が環境に適応するのは驚くほど早く、外敵がいなくて飛んで逃げる必要がない場所なら羽が退化して飛べなくなるのにさほど時間を要さない(生物進化の過程における「早い」の定義が何とも…だが)とはびっくり。2021/02/17
志村真幸
1
2018-19年に「Web春秋 はるとあき」に連載されたエッセイを一冊にまとめたもの。 鳥に関する文化誌的な側面が集められており、鳥の神話、各国の鳥の名前、囀りは人間の音楽に影響を与えたか、鳥を使った模様、食用にされてきた鳥たち、人間が絶滅させた鳥など。 こんなにも人間と鳥の関係は多様なのか、と驚かされる。 ただ、あまりにもたくさんのテーマが詰めこまれており、表面を撫でただけになっているような印象も強い。個々の話題のつながりも薄い。もう少し踏みこんで、きちんと考察してほしかった。2021/02/15