当事者研究 - 等身大の〈わたし〉の発見と回復

個数:1
紙書籍版価格
¥2,970
  • 電子書籍
  • Reader

当事者研究 - 等身大の〈わたし〉の発見と回復

  • 著者名:熊谷晋一郎
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2020/09発売)
  • ポイント 27pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000063371

ファイル: /

内容説明

当事者研究とは,自分と似た仲間との共同研究を通じて,等身大の〈わたし〉を発見すること,そんな自分を受け容れるものへと社会を変化させることを通じて,回復へと導く実践である.当事者研究の誕生の背景と方法論を紹介し,自閉スペクトラム症研究を例に,知識や支援法の共同創造が始まりつつある現状を報告する.

目次

はじめに

第1章 当事者研究の誕生
1-1 当事者研究を生んだ二つの潮流――当事者運動と依存症自助グループ
1-2 当事者運動――医学モデルから社会モデルへ
1-3 当事者運動が見逃したもの――見えにくい障害と公的空間の重要性
1-4 依存症自助グループ――言葉で公的空間を立ち上げる場所
1-5 依存症自助グループが見逃したもの――私的空間の重要性と薬物依存症者

第2章 回復の再定義――回復とは発見である
2-1 回復アプローチ
2-2 当事者研究における回復像
2-3 自己の物語の真理性

第3章 当事者研究の方法
3-1 通状況的なパターンの抽出と物語の統合
3-2 自己に関する知識と類似した他者の意義

第4章 発見――知識の共同創造
4-1 ASDについての教科書的な説明
4-2 ASDに関する当事者研究の背景と目的
4-3 当事者研究と先行研究の統合から導かれる ASDに関する仮説
4-4 当事者研究から導かれた仮説の実証研究

第5章 回復と運動
5-1 情報環境・物理的環境への挑戦
5-2 人々の価値観や態度への挑戦
5-3 医学モデルに基づく臨床研究への挑戦

終章 当事者研究は常に生まれ続け,皆にひらかれている

謝辞

参考文献

索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

52
自閉スペクトラム症研究を例に、べてるの家発のユニークな“自分助け”の技法である「当事者研究」の最新動向と、多分野の研究者との協働によって、知識や支援法の共同創造が始まりつつある現状を報告。注と参考文献に、索引。<当事者研究は、自分と似た仲間との共同研究を通じて、等身大の〈わたし〉を発見すること、そして、そんな自分を受け容れるものへと社会を変化させることを通じて、回復へと導く実践/世界にたった一人の自分の〈個性〉を探求し、その知識を踏まえて世界をより住みよいものに変えていこうとする取り組みに他ならない>。⇒2022/11/04

兵士O

34
先日、文章表現を教えている女の詩人の先生とそのゼミ生の交流会に参加してきました。幼少期自分の意向とは裏腹に病名を勝手につけられ、そこでの偏見に苦しむ学生。また、登校拒否に苦しむ友人に冷たい対応をする学校の姿勢に憤慨して泣き出す学生。そこにはマジョリティが当たり前のように思っているシステムに苦しむ若者の姿がありました。彼女らは熊谷さんを知りません。しかし同じ問題意識を持っている。その先生もマイノリティが自ら語り出すことの意義を語っていました。独りでは社会では孤独。二人、三人と共有すれば一つの力。語り出そう!2025/02/21

またの名

8
マイノリティの当事者グループが集まってもそこから外れる理解されない周縁の人々が生じ、周縁が集まると更にそこから外れる周縁が発生するゆえにこそ必要になるという、当事者研究。何か苦労の当事者になれば周囲の人と相談したり先行事例を調べて研究している当然の対処法が、世間のカテゴリで表現されてないトラウマや経験を抱える少数派には使えないので、誰も利用者から除外されない言葉のユニバーサルデザインを実現するかのように当事者研究が発展したと議論。専門家も多数派もコミュニケーションを阻む妄想に陥り易い当事者とまで言い切る。2021/05/23

ひつまぶし

6
当事者研究というものの概略をつかむためにざっと読んでみた。基本的には当事者運動と自助グループのような問題の当事者による問題解決のアプローチの発展形ないしバリエーションっぽい。著者の場合、自身が医師であり、当事者と共同研究して、医療体制を変えようとしているようだ。そうなると最終的にはやはり〈科学の知〉に奉仕するものとしての〈臨床の知〉になってしまう気がする。研究が社会運動であり、集団的な自力救済であり、真理の探究でもあるためには何が必要なのか。ショウガイではなく、障害の部分を医学以外にも応用していくことか。2024/05/17

Haruki

4
2001年に精神障害グループの治療法として始まった日本独自の取組みに端を発し、発達障害や依存症グループへも広がる。医学モデル→社会モデルを包括し、少数派の予測誤差の大きさ(生得的ショウガイ+多数派との差異:障害)を、少数派が集まり、公開して更新することで固有性を保ちつつ共通性を見出すことで、誤差低減=自己の物語の構築を目指す。エピソード記憶とそれらの部分抽象化である概念的自己のリンクを意識的に構築・維持する手段が当事者研究における回復とされ、身体感覚の想起や共通化によるパターン化、他者への帰属化をめざす。2023/10/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16115105
  • ご注意事項

最近チェックした商品