内容説明
飛鳥は二十三歳で突然自らの命を絶った。そして三年後の命日の前日、彼女はかすかな気配となって現れる。死をいまなお受け入れることのできない母親、弟、離婚して家を出た父親、男友だち、ストーカーだった男、弟の恋人……関わりのあった六人ひとりひとりが物語る飛鳥との過去とそれぞれの心の闇。自殺の真相は何だったのか? 逝った者と残された者の魂の救済を描く長編小説。(解説・堀江敏幸)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
14
現役の禅僧兼小説家の作者の小説をはじめて読みました。23歳で自殺した女性。残された母、弟、父、男友達は、3年の月日が過ぎても、その死を受け入れられずに、自分を責めるしかない。そして、自殺した女性も成仏できずに、地上と天界の境をさ迷っている。作者は、僧侶でありながら、仏教だけにとらわれずに、非常に幅広く、この物語を捉えて構築しています。人間としての幅が広く、命の問題に真剣に向き合ってきた人だと思う。非常に優れた小説でした。他の作品も読んでみたいです。弟の恋人が素敵です。2010/07/31
ふじさん
12
図書館本。一人の女性の自殺を中心に話は展開する。初めは面白くなく、読むのを辞めようかと思ったが、最後まで読むと何か心に残る不思議な味わいのある小説だ。 2020/03/03
銀の鈴
11
沖縄にいかないと、魂は救われないのだろうか、落としたまぶいを取り戻す方法をみんなが知っていればみな幸せになるではないか。儀式ありきの魂の救いに少し抵抗がある。不思議な世界。2015/05/08
シナモン
3
最近気になっていたキーワードがいっぱい出てきてびっくり!この広大なテーマをこれだけ理性的に整然と描けるってことが男性性ってことかな。さらっと読ませられすぎて大事なところ素通りしてそうなので、もう一度読み返してみたい。ストーカーの最後の公園の場面で涙が。2011/03/08
Aika
1
23歳で突然自殺した飛鳥。その気配を感じる母親、離婚して家を出た父親、弟とその恋人、男友達、ストーカーの男の視線での物語。2011/04/21