- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
世界の多くの国にとって、新興・再興感染症対策は国防の要である。翻って日本は、国防の観点からの感染症対策は明らかに後れをとっている。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、WHOの権威が失墜し、各国の安全保障体制におけるバイオセキュリティの位置づけの変化が浮き彫りになっている。ドイツ在住、WHOでの勤務経験も持つ医師・ジャーナリストが、新型ウイルスとの闘いを国防・外交の観点から捉え直し伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
荒野の狼
11
大学医学部でウイルス学の教育・研究しているものです。本書はタイトルに「新型コロナ」がふくまれているが、コロナに関しては、特に第3章がPCR検査の意味などを解説しており優れている。他の章は、いずれも新型コロナに関連して書かれているが、多様なトピックに触れられており、WHOの内情、米CDCの世界戦略の意味合い、日本で二つあるBSL4施設の解説、新型コロナの治療薬としてのアビガンとレムでシビルの効果など、本書でなくては得られない情報が掲載されている。2020/10/29
sine_wave
9
PCR検査の意味、アビガンの有効性に特に関心があったので、しっかり読めた。日本とアメリカ等の他国と違うのは、感染症対策に国防という視点が日本には希薄であるということらしい。アビガンについては、製作会社が地元の富山県であることで、関心を強く持っている。2020/09/21
乱読家 護る会支持!
7
欧米では、コレラの恐怖体験と植民地支配のために感染症学が進歩していき、さらにはバイオテロを想定した様々な備えが出来ていた。 日本には感染症とパンデミックの専門家があまりに少なく、新型コロナでは多数のエセ専門家の煽りによるPCR検査により医療崩壊を招きかねない状態となった。 日本では新型コロナの感染は海外諸国より桁違いに低く抑えられている。 しかし、パンデミックに対しての法的対処は全く遅れており、一つ間違えば、日本は先進国で最大の被害者を出す可能性があった。国防の視点での感染症対策は急務。2021/01/09
木ハムしっぽ
6
日本では科学的に信頼できる感染症対策の専門家の意見が政府やマスメディアに取り上げられ来なかった事を思い知らされる本書。新型コロナの対応として科学的な根拠が薄い政策や報道に辟易してきたが、それだけではなくパンデミックに対する備えがそもそも出来ていなかった事が分かり暗澹としてしまう読後感だった。政府やマスメディアにも優秀な人材はいるはずなのに何故。。。 BSL4ラボの建設と稼働に関する政府・メディア・市民運動のチグハグさ、、、治療薬として期待されるアビガンも科学的な判断を前提として政治的に活用して欲しい。2023/10/22
活字の旅遊人
6
大局から新型コロナウイルス感染による国際社会の動きを観察、記録していて、参考になった。エボラ出血熱の時との比較は特に良いと思った。多くの人が読んで納得できるか、というと、どうだろう?ちょっと前に読了した森田洋之「日本の医療の不都合な真実」の方が、一般人目線。TVでの村中さんが、一部から「上から目線」と批判されてたようですが、この著者は、そういう立場で語る。マスコミの要求に屈しなかった様子が最後の方に書いてあり、むしろ称賛を送りたいです。2020/10/31