雲雀の巣を捜した日

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雲雀の巣を捜した日

  • 著者名:車谷長吉【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2020/08発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062131537

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内容説明

すさまじき小説家が作り事でない想いを綴り忌憚なく心の内を覗かせる! 私小説を断筆するとした「凡庸な私小説作家廃業宣言」、「私の思想」から「死のやすらぎ」、そして「言葉について」……。作家の覚悟と矜持を示したエッセイ集。
――私は三十八歳でふたたび東京へ来てから二十一年、ほとんどこの市九郎のごとき懺悔の執念で、私の私(わたくし)小説を書いて来ました。懺悔と言うのは、人間としてこの世に生れて来たことが、すでにそれだけで重い罪であるからです。(「凡庸な私小説作家廃業宣言」より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

オールド・ボリシェビク

4
2005年の刊行。名誉棄損によって告訴され、私小説作家を廃業するとの宣言をしたころのエッセイ集。俳句も収められている。郷土のこと、これまでの作家としての足跡など内容的に重複するエッセイが多いのだが、どの文章からもどこか「毒素」が漏れているような気がする。「人間としてこの世に生まれて来たことが、すでにそれだけで重いつみであるからです」という人生観を抱いている作家が吐き出すものは毒素なのは当然だろう。常に作家であろうとした車谷長吉の帰結するところは、「毒素」なのだ。いやはや何とも。業の深いことだ。2025/06/16

三柴ゆよし

4
車谷長吉氏の作品は、小説にしろエッセイにしろ、あるいは俳句にしろ、「業」と「郷土」という、常にふたつのテーマに貫かれているように思われる。あざとくもすさまじく描かれる「業」に反比例して、播州飾磨の「郷土」に向ける氏の視線は、美しく澄み切っている。余談ながら、自分もサッカーという競技につきまとう「空騒ぎ」には、氏同様に憎悪の念を燃やす者であって、あの醜怪な季節が経巡ってくるたび、我が家のテレビジョンは沈黙を余儀なくされるのである。呪われてあれ。2010/05/01

私的読書メモ3328

1
10年ほど前にいくつか著作を読んだ著者を、亡くなられた今年になって再び読みました。すると、以前読んだときは、いまひとつ理解も納得もしかねる部分の多かった著者に、賛同できる部分、理解・納得できる部分が驚くほど増えていました。再三唱えられる「近代」への批判と警鐘には、著者ほどの悲観をすべきではないと思いますが、真剣に受け止め、可能な範囲で行動にも移すべき重要な指摘だと切実に感じました。また、安直なビジネス思想に毒されているように見える昨今の出版業界に対して、著者の覚悟、気負いの、なんと眩しいことか。2015/12/08

wasabi

1
命を懸けて文学に没頭したというものの、読むこと書くこと、すべて現実逃避だと自覚しているのか。あきれるほどに臆病で、弱い人間なのだなぁと思わざるを得ない。なぜにそこまで死が怖いのだろう。自分に自信が持てないのだろう。2006/05/11

ライム

0
デビュー間もない頃に賞をあげ褒めておいて、その後長い間黙殺…それじゃ賞が嫌がらせみたいだ。候補に挙げておいて数回落とす方が、まだ親切。著者も初期に認められてからの苦労をカフカの短編「皇帝の使者」に例える。いつまで待っても到着しない使者を待つかの様に、文士になりたい一念だけを支えに書き続けて27年、ついに世に出たと。武勇伝のように語っているが、とても怖くてマネできる事ではない。その心構えは原稿と命を引き替える位の覚悟と説く。読者としては、心中未遂になってなにより。2023/11/11

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