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内容説明
人はなぜ
愚行を怖れ
しかも魅惑されるのか
フローベール、ドストエフスキー、ニーチェ、バルト、そして谷崎潤一郎
愚行は西洋近代が考案した〈人間の宿命〉である
「愚」という尊き徳をめぐる最新長篇論考
愚行を地上から消滅させることは不可能であると認識していた者は、いつの時代にも少数だが存在していた。だが多くの者は、何らかの条件さえ整えば、人は愚行に対して勝利を収めることができるものだと考えていた。しかし今日にいたるまで愚行は消滅することなく、それどころかますます猖獗を極め、強固な構造として世界に遍在している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日向野
1
ドゥルーズは、愚行とは思考の誤謬にすぎないという考えこそ、プラトン以降、西洋哲学が陥ってきたドグマであると一刀両断する。愚行を外部から偶然に到来した単なる認識の過ちだと見做して済ます事、経験論的決定をもってよしとする回避的態度は改められるべき。 彼は既存の哲学を批判するあまり、文学の哲学に対する優位を口にする。 「最低の文学は愚行集を作るだけだが、しかし最高の文学は、愚行の問題に憑かれている。最高の文学はそのまま進むと、哲学の入口にまで到達する。宇宙的、百科全書的、グノーシス論理的な全次元が与えられる。」2021/05/03
nico560
1
過去の著作やその人自身を分析し、愚行というものはどういうものかを教えてくれる。正直な話、途中で何を言っているか分からなくなってきた部分が、たくさんあった。自分は、過去の文学作品をあまり読んだことがなかったので、ドストエフスキーの「白痴」の内容を少し知ることができたので、それで良しとしよう。2020/10/24