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内容説明
女子刑務所内の、一般人が通う美容室にて
女子刑務所の中に、
“受刑者が一般客の髪を切る”美容室がある。
美容師は、重い罪を犯した者。
だけどそこには、いつも青空があった――
服役中に美容師となった小松原葉留は、
女子刑務所内の美容室で、一般客の髪を切っている。
天井から壁まで青空が描かれた
その美容室を訪れる者は、
小松原がもたらす静かな時間に
いつしか心を洗い流され……
小松原はなぜ、美容師として鏡の前に立つのか。
客たちはなぜ、そこで髪を切るのか。
『アルティストは花を踏まない』の新鋭が贈る、
ひとりの受刑者と、社会を生きる女たちの
あたたかな再生の物語。
空はどこまでも、青く、深く。
誰の上にも、きっと――
描き下ろし美麗カラーイラストも収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
36
女性刑務所の中にある美容室を描いた作品です。重い罪を犯してしまいながらも懸命に生きようとする主人公の小松原葉留を作者は優しく繊細に描いています。温かみのある美しい絵が圧巻です。作者が精魂込めて描いていることが伝わってきます。自分の罪に向き合いながらひたむきに生きようとする葉留の姿に胸が熱くなりました。2話に出てくるきれいな黒髪の少女の染み入るような笑顔が忘れられません。抗癌剤の治療を受けるので、捨て鉢になっていた彼女を葉留が力強く励ましたのです。こんな素晴らしい作品にはめったに出会えるものではありません。2020/09/03
ねお
21
一面の青空の天井という設定にも、単話の内容にも、小日向さんの優しい絵にもほっこり、幸せな気持ちに。小日向さんの絵を初めてみた時からとても癒される好きな絵だな〜と思い調べてみると刑務所に関する漫画があるとのことで手に取った。恥ずかしながら刑務所の中に美容室があるというのも「空の青さを知る」という諺の続きも知らず、新しい発見がいくつもあった。今は和歌山、笠松(岐阜)、栃木にしか刑務所内に美容室がないとのことだが、PFI刑務所ができるずっと前の戦後すぐ70年前から刑務所が社会に開かれていたことに驚いた。こういう2021/09/03
ショコラ
17
【タイトルが気になって購入】桜井美奈の同名小説をコミカライズした作品。刑務所の中にある、美容師の職業訓練を受けた受刑者が一般の人々の髪を切る美容室での話。日本の3カ所の刑務所では実在するそう。重たい内容かと思ったが、美容師と客の優しいやりとりの物語だった。絵がその優しさに呼応するかのような優しい絵で、特に笑顔の描写が印象的だった。ただ、ページ数の問題か、少し話がコンパクトにまとまりすぎているような気がした。小説はもっと深く描いているのかな。2021/10/21
GORIRA800
17
受刑者の女性が更生のひとつで一般人の髪を切る話 あまり言葉を交わさずとも、互いに何か優しさのようなもので通じ合う様子がささやかな涙を誘われる 戻れる場所、待ってくれる人、応援してくれる人、そんな人がいれば大袈裟なまでの優しさなんていらないんじゃないかなって思った 2021/09/13
小紫
13
たまたま入手できたのが漫画の方だったのですが、心に染みる短編集でした。仕事が忙しすぎて彼氏と破局寸前の記者の目から始まり、刑務所内の美容室を訪れる人との交流を描いているのですが、どの話も少しうるっときて、ほんのりと胸が暖かくなりました。最後はほぼ全ての登場人物に穏やかな幸せが訪れてくれたようで、ホッとしています。やはり、原作の小説を読みたいかな〜。2021/12/03