戦争の歌がきこえる

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戦争の歌がきこえる

  • 著者名:佐藤由美子
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 柏書房(2020/08発売)
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  • ISBN:9784760152490

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内容説明

「僕は日本兵を殺した」

私がアメリカのホスピスで見届けたのは、
第二次世界大戦を生き抜いた人たちの最期だった。

思い出の音楽とともによみがえってきたのは、
語られずにいた数々の証言。

「マンハッタン計画にかかわっていたんだ」
男は涙ながらに告白し、
「彼らが来る!ナチスが来る!!」
女は恐怖に囚われつづけた――。

これは、ひとりの音楽療法士が記録した、
日本人の知らない「もうひとつの戦争の記憶」であり、
「戦争」の比喩が不気味に飛び交う現代日本において、
トランスナショナルに平和の意味を考えるための一冊である。

目次

プロローグ 日本人の私が、戦争を経験したアメリカ人とかかわること

音楽療法について

第一部 太平洋戦争(Pacific War)
第一章 良い戦争という幻想――「僕は日本兵を殺した」
第二章 記憶の中で生きる――「忘れないでくれ」
第三章 原爆開発にかかわった人――「誇りには思っていない」

第二部 欧州戦線(European Theater)
第四章 アメリカの理想と現実――「僕たちは、なんのために戦っているのか」
第五章 女たちの戦争――「経験して初めてわかること」
第六章 ホロコーストの記憶――「ナチスが来る!」

第三部 忘却と記憶(Forgetting, Remembering)
第七章 祖父が語らなかったこと
第八章 忘れられた中国人たち

エピローグ その記憶は、私たちが自己満足と戦うことを可能にする

補遺
あの戦争をどう名づけるか/謝罪と責任――日米における観念の違い/アイデンティティと国籍――なんのために戦ったのか/英語に訳せない「歴史認識」という言葉

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

81
音楽療法士である著者が、米国のホスピスで出会った戦争体験者の物語の記録だが、彼らの話をもとに、著者が、日本人として、一人の人間として悩む姿が心を打つ。ベトナム戦争と違い、米国では、第二次世界大戦は民主主義の理念を賭けて戦った良い戦争。でも、国家にとっての良い・悪いと、一人一人の国民にとっての価値とは別ではないか。一方、国家(特にナチス)に罪を擦り付け暗黙裡にその蛮行に加担した責任を回避するドイツ国民や、アジアの人たちへの行為を「社会的記憶喪失」として意図的に隠蔽している日本への疑問など、著者の思索は深い。2021/01/05

白玉あずき

45
「ホスピス物」は色々あるが、テーマを戦争の記憶にしたところが新鮮だった。ホロコーストの生き残り、マリーの終末期の悲惨さに言葉を失う。抑圧してきた恐怖の記憶に最後まで苦しみながら死を迎えるなど、なんという地獄だろう。「集合的記憶」の「社会的忘却」、「歴史修正主義」から来る自己肯定感。戦争の記憶を語るには避けて通れない。そこに踏み込んだ著者。そして挿入される広島でのオバマ大統領(当時)の演説。地獄の中で天を夢見ること・・・ 人の死によって失われていく記憶を、残される人間は素直に受け取りたい。2021/02/03

あやの

44
国家視点で見れば「輝かしい戦争」であっても、一人一人が体験したことは地獄以外の何物でもない。戦争経験者は、何十年も経って年老いても当時のことを語れない。彼らに寄り添う筆者の視点から、特に第二次世界大戦をどう捉えたら良いかを考察する。時間の経過もあり、出来事に対して忘却や修正が加わる。戦争とは、現代日本に生きていると他人事のように思えてくるが、勝ち負けに関わらず、戦争によって傷ついた心は一生完治することはない。世界では今も戦争が起き続けている。そこに直面した人々が安寧を得るのはいつのことなのか。2024/01/13

いろは

40
死の直前『走馬灯のように人生を思い出す』というのは、万国共通なのだな。米国でホスピス緩和ケアの音楽療法士をされている作者が、患者から聞いた戦争体験。アメリカ人からみた第二次世界大戦は、どんな風に見えていたのか。原爆開発に関わった人は、死を前にして何を思うのか。わかっているようでわかっていなかった戦争体験が、まだまだたくさんある。尊い思いを綴った本なので、★はつけないことにします。2021/05/23

たまきら

40
アメリカのホスピスなどで音楽療法士として活躍されている日本人女性が出会った戦争で傷ついたひとびと。ひょんなきっかけから東京大空襲の体験者を取材するようになった自分たちとの共通点を感じつつ、おざなりにされてきた魂を悲しく感じました。懸命に生き続け、最後の時を迎えるとき、自分の魂がもとめるものは何なんだろう?深く考えさせてくれる一冊です。素晴らしかった。読み友さんから。2021/01/22

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