新潮文庫<br> 路地の子(新潮文庫)

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新潮文庫
路地の子(新潮文庫)

  • 著者名:上原善広【著】
  • 価格 ¥649(本体¥590)
  • 新潮社(2020/08発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 150pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101206875

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内容説明

昭和39年、大阪――。中学三年生の龍造少年は学校にはいかず、自らの腕だけを頼りに、天職と信じた食肉の道へと歩み始めた。時に暴力も辞さない「突破者(とっぱもん)」と恐れられ、利権団体や共産党、右翼やヤクザと渡り合いながら食肉業界を伸し上がった一匹狼――。時代の波に激しく翻弄されながら、懸命に「路地の人生」を生き抜いた人々の姿を、大宅賞作家が活写した、狂おしいほどに劇的な物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chiru

119
大阪の路地に生まれ『部落出身』を背負いながら食肉業界を牛耳った男、龍造の壮絶な生き様を描くノンフィクション。「屠殺業」から思い描く暗いイメージと違って、相場師のような洞察力と直観で窮地をすり抜け「BSE」「放射能汚染」の危機も、龍造の手で好機に変えていく。『差別』を水のように浴びて生きてきた龍造の貪欲なバイタリティが凄い。部落問題、同和問題については知らないことばかり。この国で『日本人』という理由で虐げられることはないけれど、差別の根底にあるものの正体に迫りたくなる一冊でした。★42020/12/05

ゆいまある

106
大阪の被差別部落に生まれ、精肉業で身を立てた男の一代記。書いたのはその息子。子供の頃からヤクザ相手に刃物を持って向かっていくなど、この男、兎に角激しい。家では暴力、愛人には優しい一匹狼。ヤン・ソギルの血と骨を強烈に思い出す。血と骨程は攻撃的ではないし、破滅的でもないのだが、その疾走感に久しぶりの一気読み。小さくまとまることなく、他人の目を気にせず我が道を貫く様が心地良い。家族は溜まったもんじゃないだろうけど。面白かった。おすすめ。2022/12/11

いこ

92
著者は所謂「部落」の家に生まれた。この本は、著者が父親龍造について書いたノンフィクションである。本当に厳しい世界だ。更池という部落の牛の解体場で中三から見習いとして働き、ヤクザと渡り合いながら、一代で「更池一の食肉工場」をつくった龍造。「金さえあれば差別されない」と一直線に突き進んできた。蔑ろにされた家族は荒んでいく。子供達も荒れていく。今、この地域の就学率・識字率は上がったのだろうか?あまりに失礼な質問かもしれない。でも、わからない。私のようなごく普通に育った人間には語る資格のない厳しさを読み取った。2023/05/30

10$の恋

37
まず、路地=部落である。龍造という男の半生記、凄まじいノンフィクション小説。昭和の大阪を舞台に地名や実名、「路地」の実態が躊躇なく出てくる。屠殺を生業とする被差別地区で生まれ育った龍造は、気性の荒いゴンタクレ。路地独特の生き様、習慣…。ただ牛を捌く腕だけは一級品。一方、部落解放運動と政治が食肉の利権確保に入り乱れる。龍造は利用されて山口組系暴力団の介入にまで至る。大阪に住む私、当時同和が揺れてたのは話で知っていたので、独特の重い迫力を感じた。同和タブーを切り開く著者もまた路地の子、そして龍造の実の子だ。2020/09/04

空猫

33
著者は被差別がテーマのルポが多い。読みたいと思っていてやっと読了。路地(=部落)出身だった。屠殺業(食肉)で一代で社を立ち上げた、父の話。梁石日の父と同じく極道も一目置いた方だがこちらは仕事も父親業も一応真っ当だ。戦後は解放同盟や共産党などが絡む社会情勢もあり、当時の様子がとても詳細に書かれていた。 それにしても、エタと非人同士も差別し合っている事実や、路地に後から流れ着いたよそ者を「入り人だから」と一線を引いていたり、結局メンツや筋に囚われ、金で動き…男は人間はどこも変わらない。おわりにまでも必読。2025/06/03

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