内容説明
明治44年に起きた吉原大火ののち、東亰・隅田川に花艇を浮かべて返り咲いた、優雅で艶やかな水上遊郭。大火で両親を亡くし、客を送迎する番人見習いの船頭になった利壱は、ある日、長春楼楼主に頼まれ、娼妓見習いのツバキを切見世へと連れていく。利壱が見つめるのは、欲望渦巻くまやかしの世界だった――。水上吉原を牛耳る老獪な廣川が仕掛ける謀略と、待ち受ける驚きのラストに心揺さぶられる、新感覚エンタメ時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
明治44年に起きた吉原大火ののち、東亰・隅田川に返り咲いた水上遊郭。大火で両親を亡くし客を送迎する番人見習いの船頭になった利壱が、長春楼楼主に頼まれ娼妓見習いのツバキを切見世へと連れていく時代小説。吉原大火の結果として再構築された水上遊郭を舞台に、想いを通わせてゆくツバキと吉原で生まれ育った絵師の許されない恋。しかしツバキに目をかけていた廣川は水上吉原を牛耳る老獪な存在で、絶望的な状況で仕掛けられた謀略の行方にはドキドキしましたけど、そこからの急展開と思ってもみなかった結末にはぐっと来るものがありました。2020/10/20
ゆなほし
31
明治44年の吉原大火後、隅田川に花艇を浮かべて返り咲いた水上遊郭での、ある一つの恋情が巻き起こす婚姻騒動とは…。船上の遊郭、娼妓はそれを飾る艶やかな花。なんとも幻想的で美しい情景が浮かぶ舞台作りが見事で、朱色の恋が匂い立つような情感たっぷりの丁寧な文体が読ませる上質な婚姻譚。遊郭の禁忌である足抜けを誘う展開に、実らぬ2人の男女の恋情の行方が二転三転する。一捻り加えた終幕も読み応えがあり、読後は満足度の高いものだった。2021/01/03
にゃうぴょん
11
面白かったです。吉原大火災後隅田川の水上遊郭の花艇の様子の美しさを想像するだけでドキドキします。長春楼楼主の於豊と老獪な大商人廣川の謀略に引き込まれ一気読みでした。2020/12/13
紅羽
7
先月に読了してましたが登録漏れ。大火災で消失した吉原遊郭が隅田川に水上遊郭として移転した架空の吉原が舞台。水揚げ前の少女と吉原で育った絵師との結ばれる事のない恋を中心に様々な想いに彩られた一冊。遊女という厳しい世界に身を置きながらも、未来を切り拓いていくラストの余韻も優しく、心地良い作品でした。2021/06/26
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