内容説明
大手観光会社社長の自家用機のお抱えパイロットをしている朝日奈順は、
九州から東京に一人で戻る途中、燃料洩れのため、海上に墜落してしまう。
運良く離島の漁師に救われ、助かるが、事故のショックから失語症になってしまった。
一カ月後、東京に戻った朝日奈は、衝撃の事実を知る。
すでに死亡届が出されており、
しかも同乗していなかったはずの社長が墜落死したことになっていた。
暗殺計画
近づく三人の女。
そこに隠された真実。
傑作サスペンス。
第一章 背を向けられた男
第二章 笑わない女
第三章 女たちの告白
第四章 影の気配
第五章 空と海に燃ゆ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
中玉ケビン砂糖
57
「喋れない」「口がきけない」、いわゆる言語障害のある主人公というのは、表現上大きなリスクを伴う反面、ミステリ的作劇においてはひとつのアドバンテージとなる。本作では後天的かつごく限定的なものなので手話を介せるというわけでもなく、イエスかノーの意思表示以外に何かを伝える場合には「文字」「ジェスチャー」「音」「間」「表情」「仕種」など様々な身体的表現を駆使して他人に意味を伝えなければならない。他方でそれは2022/12/11
hirayama46
3
社長お付きのパイロットが飛行中に事故に遭い失語症になってしまい……というサスペンス小説。いかにも昭和のサスペンスを感じさせるサービスシーンはいま読むとややしんどい部分もありますが、そういう味わいが求められていた時代もあったのでしょう。ハードボイルドエロス。2024/05/22
コマンドー者
0
陰謀に巻き込まれた孤独な男の真相解明劇を描くサスペンス編。中盤で一旦事件が解決したと思わせて、最後はどんでん返しと、笹沢氏らしい作品。笹沢作品としてはしかし中くらいの出来か。2022/11/12