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内容説明
これまでにない世界史――。その突破口は、中央アジアに蟠踞した遊牧民への視座である。いわく「西のローマ帝国、東の漢帝国を崩壊させる決定的な原動力になったのは、遊牧民たちの動き」であり、「中世には、どちらでも擬似古代国家が再建された」。この見方は、教科書はもちろん、大きな地域史とも言える東洋史、西洋史にはできない。以下、古代から現代までを通観。立ち現われたのは、まったく新しい「世界史のミカタ」である。これこそ、複雑な現代世界を読み解く武器となる。碩学で知られる、両著者自身が知的興奮を味わった、白熱対談へようこそ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
36
古代から中世において、中央アジアの遊牧民たちが中近東・ヨーロッパ・中国等に進出し世界を揺るがしたという視点からの世界史のアレコレ。対談集ゆえ、体系的な理解とまではいかないが、語られる世界史のウンチクが歴史に対する興味をさらに増すこととなって刺激的。偶然にも司馬氏の「街道をゆく・モンゴル編」の読了直後であったため、遊牧民族と農耕民族との受け入れがたいライフスタイルの違い等がパラレルに理解できてラッキー。井上章一氏はあの「京都ぎらい」の著者なのですね。読了後気づきました。2019/12/06
Isamash
34
東北大博士課程で西洋史専攻の小説家・佐藤賢一と井上章一・国際日本研究センター教授の2019年対談書。遊牧民やイスラム教、中国社会の血縁性等、一般的でない視点で世界史を語っていて興味深かった。また欧州で、第一次大戦が第二次大戦より死者が多かった指摘をしていて、英仏がドイツとの戦争を避けた訳を、実感出来た気がした。ナチスが使った大衆の感情に訴える方法論が、現在でもしっかりと使われているという指摘は耳が痛い。井上教授は梅棹忠夫の文明の生態史観に感銘受けて歴史学にめざしたとか。京大工学部卒も珍しく、注目したい。 2024/02/11
イトノコ
33
歴史学者の井上章一と、歴史作家の佐藤賢一が新しい世界史の「ミカタ」について対談。/ヨーロッパ至上主義ではない、中央アジアの遊牧民やイスラムにも注目したミカタが面白い一冊。他にも「金を稼ぐ後ろめたさを利用した金儲けのシステムがお布施」と言う身も蓋もない宗教論や、「外交官に最も求められるのはエレガンス」と耳に痛い話も。終盤は今後の世界の行く末にも言及。過去の漢民族が治めた中国王朝には、文人の誇りと奥ゆかしさがあった。それを文化大革命で抹殺した今後の中国がどうなるのか、どこかで暴発するのかが鍵となるか。2021/03/28
lily
16
西洋史に詳しい佐藤賢一氏と東洋史に詳しい井上章一氏が、それぞれ知識を補完し合いながら世界史を語る。井上氏の関西弁・左派っぷりと佐藤氏のフランス愛があふれる一冊。放言も多いが勉強になった。①教会への寄進を進めるために、教会は煉獄を設定した。②インドの仏教を壊滅させたのはガズナ朝。③異民族の侵入が多い中国は血縁を、面積が狭く交流が少ない日本は地縁を重視した。④ヨーロッパで他国から国王を招くことが混乱を招かないのは、より古い英雄を起源と主張するから。⑤ムッソリーニのローマ進軍は、カエサルのルビコン川通過を想定。2021/02/15
fseigojp
14
日本史のミカタの姉妹編 日本は本郷と、世界は佐藤と この司会をする井上先生は知の巨人だ2020/03/27