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内容説明
トイレを見れば、丸わかり。
都市と農村、カーストとイノベーション……
ありそうでなかった、「トイレから見た国家」。
海外特派員が地べたから徹底取材!!
インドはトイレなき経済成長だった!?
携帯電話の契約件数は12億件以上。
トイレのない生活を送っている人は、約6億人。
経済データという「上から」ではなく、トイレ事情という「下から」経済大国に特派員が迫る。
モディ政権の看板政策(トイレ建設)は忖度の産物?
マニュアル・スカベンジャーだった女性がカーストを否定しない理由とは?
差別される清掃労働者を救うためにベンチャーが作ったあるモノとは?
ありそうでなかった、トイレから国家を斬るルポルタージュ!
トイレを求めてインド全土をかけめぐる!
■家にトイレはないけれど、携帯電話ならある
■トイレに行くのも命がけ
■盗水と盗電で生きる人たち
■「乾式トイレ」の過酷さはブラック企業を超える
■「差別」ではなく「区別」と強弁する僧
■アジア最大のスラムの実情 etc.
【目次】
はじめに
第一章 「史上最大のトイレ作戦」――看板政策の実像と虚像
第二章 トイレなき日常生活――農村部と経済格差
第三章 人口爆発とトイレ――成長する都市の光と影
第四章 トイレとカースト――清掃を担う人たち
第五章 トイレというビジネス――地べたからのイノベーション
終章 コロナとトイレ――清掃労働者の苦渋
おわりに
主要参考文献一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
376
トイレから経済大国インドの真実をえぐった快作。全人口の半分(なんと約7億人!!)が家の中に「トイレのない暮らし」をしているとの衝撃的な内容。屋外の離れたところにあるためトイレに行くのも「命がけ」だ。毎年4万6千人もがコブラやサソリに噛まれて死亡、レイプ犯にも襲われている。背景にはインドの激しい社会格差。9人の大富豪の財産=下位半数人口の合計資産。例えれば、上位1%の富裕層が毎日352億円相当の資産を増やしているのに対し、1日205円未満で暮らしている極貧層が存在する。日本企業のトイレ技術の進出に”光”も。2024/02/13
ゆいまある
121
「三つ編み」で素手で他人の排泄物を集めるダリットの少女に衝撃を覚えた。ちょっとインド映画が好きでインドを知った気になっていた自分を恥じた。共同通信ニューデリー支局記者渾身のルポ。インドで多数派のヒンズー教では、排泄物を穢れとし、自宅にトイレを作ることを忌む。もしくは最下層カーストに素手で掃除をさせ差別する。多くの家庭にはトイレがない。レイプの危険に晒され、夜明け前一日一度の排泄で凌ぐ女性もいる。ヒンズー至上主義のモディ首相は根本的な解決は何もしない。インドの闇。自分の価値観が揺らぎ頭を殴られるような良書。2020/10/04
ぶち
85
インドでは、携帯電話の契約件数が11億件以上。トイレのない生活を送っている人は、約6億人。インドはトイレなき経済成長なんですね。バンガロール出張中に野原に用を足しに行く人をホテルの窓から毎朝のように見てしまいました。インドのシリコンバレーと言われグローバル企業のインド支社で働くエリートエンジニアがあふれている地でもそうなんです。トイレ事情がその国のありようを如実に表していると言いますが、経済成長の陰にあるインドのさまざまな問題点や真の姿がこのトイレ事情に集約されているように思いました。2023/02/25
ジュール リブレ
83
世界最大の人口(そろそろ?)インドは世界最大の無トイレ国でもあった。映画「Toilet 」(2017) が事情をよく表している。トイレは1日1回のみ!野外の草むらで!知人に襲われたり夜間は野生動物にも!そんな命懸けのトイレの習慣が無くならず古い因習に囚われる人たちに救いはあるのか。下水道設備の老朽化でガンジス川の汚染が進み、聖なる水も澱んでいる。意識からの再生が必要だ。 https://youtu.be/ym4EJQ7XORk2022/02/23
hit4papa
80
経済発展著しいインドを「トイレ」からの視点で捉え直した著書です。13億人のほぼ半数が今もって野外排泄を続けているインド。モディ首相の「スワッチ・バラート」(クリーン・インディア)で政策的にトイレの普及を後押しするも、出てきた成果と裏腹に実態は残念な結果です。野外排泄は性的暴行、感染症の蔓延等、デメリットが大きいものの、トイレにかかるコストは多くの人々の収入では賄いきれないといいます。不浄のものを家に置かないという宗教的な観点もあるとか。下水の普及など課題の多いインドの一面を本書から知ることになりました。2022/07/25




