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内容説明
正々堂々、中国共産党と渡り合った男
「日本の新聞記者が冷徹な目で、
台湾がたどった民主化への苦難の道を、
ここまで明確に綴った記事は例がない」
(台湾元総統李登輝)
日本人が「国家とは何か」を考えるには
台湾ほど大切な存在はない
【本書に登場する主な李登輝語録】
☆学生の民主化要求デモに絶対に危害を加えてはならない
☆若者が政治を変えるんだ
☆22歳まで日本人だったんだ
☆日本政府の肝っ玉はネズミより小さい
☆この国(日本)は伸びますよ。まだまだ
☆遺灰は新高山にまいてほしい
《内容》
まえがき
『李登輝秘録』出版に寄せて
李登輝
第1章
虚々実々の中台両岸関係
第2章
日本統治下に生まれて
第3章
大東亜戦争と台湾
第4章
政治弾圧時代の苦悩
第5章
皜経国学校の卒業生
第6章
薄氷を踏む新任総統
第7章
静かなる民主革命
第8章
日本よ、台湾よ
あとがき
幻の講演原稿「日本人の精神」全文
李登輝と家族の年譜
参考文献
(巻末に「李登輝さんのご逝去を悼み」を加筆しました)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
60
20年前、李登輝氏の「台湾の主張」を読んで心が震えたのを思い出す。武士道的な精神の美しさもさることながら、世界観の大きさ、そして何より彼の日本語の美しさに感動した。文章が人格を体現するということを思い知らされた一冊だった。本書は、その李登輝氏の生涯の足跡を綴る秘録。台湾の真の民主化を実現するために、対立する勢力を篭絡してゆく強かで現実的な政治家の姿が描かれる。新渡戸稲造、後藤新平、西田幾多郎、八田與一、司馬遼太郎、キリスト教…この人に影響したキーワードを数え上げるだけで、この人物の素晴らしさが実感できる。2020/10/13
R
39
台湾現代史をなぞることと同意の本でした。李登輝という人物の政治を俯瞰する内容でもあるし、その人自身を見る内容でもあってすごく読み応えがあった。蒋経国との関係もよく出てきて、正直そのあたりは歴史上の出来事といったくらいの感覚だけど、ついこの間といっても差し支えない頃だと思うと考えるところが多い。台湾苦難の時代であった、白色テロや、二二八事件の様子が生々しくも恐ろしい。日本との関係も出てくるが、李登輝という人がすごかったということでしかないと、その人がたまたま利用したのが日本であっただけだと思うところ。2021/01/02
Y2K☮
28
この人がいなかったら台湾も今の香港みたいになっていたかも。建前と本音を使い分けつつ既成事実を積み重ね、穏便なやり方でさりげなく大陸の色を削ぐ。中国のやり方を批判する裏では話し合いのできるチャンネルと機密情報の確保を怠らない。中国が民主化したら統一の話をしましょうのロジックや国連がダメなら国際機関を突破口にという発想も秀逸。国のトップとして史上最高のひとりだと思う。本省人である彼を抜擢し、野党の立ち上げを命じて民主化の礎を築いた蒋経国の功績も覚えておく。公のために清濁併せ呑める気概が日本の政治家にも欲しい。2020/09/15
ミナ
16
理想の日本人像でもある李登輝氏。彼のような人が日本にいたら、台湾に対して、また李登輝氏に対しても恥ずかしくなかっただろうに。 苦労は多かっただろうが、彼の背中を見て育った人々が次代の台湾を担っている。コロナもいち早く抑え込んだ台湾の未来は明るいだろう。2020/10/08
ジュンジュン
8
蒋経国が敷いた自由化の道を引き継ぎ、民主化まで推し進めた李登輝。新聞連載をまとめたものだけに、重複もあるし話も前後するが、これで生涯を追いかけられる。今後中台関係がどうなろうとも、ずっと語り継がれるであろうその業績。李登輝は死すとも、民主化を成し遂げた台湾は永久に不滅だ。2020/09/29