内容説明
極上ご飯は新たな人生を歩ませる力となる。
江戸深川に建つ船宿「山谷屋」の主・志津は、微笑をたやさない童顔がお地蔵さんめいた十八歳。
六年前に死んだ父の跡を継いで、たった一艘しかない船をやり繰りしながら、大叔父の捨蔵と宿を営んでいる。
そんな山谷屋に、鼻筋の通った二十歳の船頭・百助が、川面に浮かんでいた若い女を慌てて担ぎ込んできた。
志津が作った貝柱の出汁で煮込んだ粥で、生気を取り戻した女は、「どうしておとっつぁんは、あんな目に遭わされてまで、『怨らんじゃならねぇ』だなんて言うの……きっと仙蔵に復讐してやる」、そう呟いた――。
おみねと名乗る女に、いったい何があったのか?
志津と捨蔵、そして百助は、手をかけた料理と知恵を絞った妙策で、おみねを絶望の淵から救おうと奔走する。
世話好きの三人をよく知る同心の後藤多一郎から助太刀を得たものの、最大の危機が訪れた!
「辛い過去を背負った客を癒し、新しい人生への船出を手伝う、温かい船宿」山谷屋にかかわる、輝く人々を描く、感動の文庫書き下ろし連作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nyanlay
5
タイトルや表紙のイラストから勝手に料理屋っぽい話しかと。違ったみたい。登場人物が全体的に若いですね。最後まで読んで続きがありそうなので新しく出たら読みたいです。2020/12/15
陽ちゃん
4
「湯やっこ」とあったので食べ物屋さんのお話かと思ったら、メインは「駆け込み船宿」の方でした。船宿山谷屋の主の志津は18歳の娘ですが、いろいろ訳があるようで、捨蔵老人と船頭の百助、それに地回り同心の多一郎に助けられながら船宿を切り盛りしています。そして、山谷屋を訪れたお客の抱える問題を解決しようと他のメンバーを巻き込んで奮闘。彼女の性格もあるのでしょうが、最終話で明かされた生い立ちも影響しているんだろうなと思わされました。2020/09/11
千日紅
3
★3.5 内容(「BOOK」データベースより) 江戸深川に建つ、小さな船宿山谷屋の女王・志津は、亡き父の跡を継ぎ、大叔父の捨蔵と宿を営んでいる。ある日、船頭の百助が、川面に浮かんでいた若い女を担ぎ込んできた。生気を取り戻した女は小声で呟く。復讐してやる―。おみねと名乗る女に何があったのか?志津と捨蔵、百助は、手をかけた料理と絞った知恵で、おみねを絶望の淵から救おうと奔走する。辛い過去を持つ客を癒し、新しい人生への旅立ちを手伝う、温かい船宿の人々を描く2020/11/25