内容説明
ナポレオン戦争、朝鮮戦争、フォークランド紛争、テロとの戦い、ドローン攻撃……
「正しいこと」「望ましいこと」が
すべて同時に満たされることのない世界で――
・カミュ『正義の人々』が問いかける道徳的ディレンマ
・グロティウスの正戦論とパリ不戦条約という転換点
・憲法典の間隙を突いたビスマルクの政治闘争
・一触即発の核戦争の危機を回避したキッシンジャーの手腕
・国際法の歴史から9条問題の本質を考える ……etc.
憲法学の第一人者が放つ、瞠目の戦争論
近現代史における戦争のダイナミックな質的変容を
法の視点から浮き彫りにした知的興奮の書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさにい
4
国家間の紛争を規制する法はない。其々の国が自己の正義を主張する。この正義は比較不可能なものであり、基準とする物差しがないのである。戦争は、究極の理性とでもいうべきもので(最後の理性ともいうが)、戦争に至らないことが重要なのであるが、戦争は絶えることなく行われているのが現状である。このような答えの出ないものに対して、法が持つ力はどのようなものであるのか、我々も考えておかないと、ある日ふと徴兵される日が来るとも限らない(大岡昇平が靴の話の中で書いていた)。そんなことを考えながら読んでいた。2024/03/02
naoco
4
授業でとった戦争学という科目がとてもおもしろかっだので読みました。もう少し法的なアプローチなのかと思ったら歴史的な事案から読み解いていくものでした。2023/05/22
TM
2
歴史上の「戦争」について,その概要を解説しながら,主要国における憲法や議会との関係について論じたうえで,憲法や議会・政治がどのような形で関わっていたのか,対して日本はどうなのか,について分かりやすく解説する本。長谷部先生の深い教養をうかがい知ることもできる。単純な結論を出さないのは相変わらずだが,だからこそその議論に信頼性が置けるともいえる。難しい問題は,どんなに分かりやすく説明しても,難しい問題なのである。2022/09/18
けいやま
0
戦争と法との間の関係を描いたもの。世界史の知識がないと読めない。この本を読むために世界史の教科書や学参を数冊購入した。ざっと読んだ感想であるが、これまで他の本でも取り上げてきた長谷部恭男教授の考え方を、現実に起きた紛争に沿って説明したもの。2023/09/02
inu
0
あまり面白くなかった。分量的には戦争に関する歴史記述が大半で、それ以外の部分はこれまでの著書に書かれた様な内容が多い。研究ノートみたい2020/11/23