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内容説明
母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読すると、国籍や人種を超えた人類の深い結びつきが示される。遺伝子研究でホモ・サピエンスの歴史の謎を解明し、私たちの世界観を覆す!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
28
アイスマンやロマノフ家、ポリネシアの人類進出ルートなど、研究の設定が一般人の関心を引き込むのに巧み。ミトコンドリアDNAなので、主に女性の血縁をたどっていける。表題の7人の娘は、ヨーロッパに進出した人類のビックマザー達。それぞれに物語まで作られていて本当に研究が楽しいことが伝わってきた。エリカとの研究確執バトルからの日本のビックマザー名前候補からエリカが外れる下りは笑えた。研究者も一人の人間。2021/02/11
mob
8
冗長な調査過程と創作部分を飛ばし気味に、手早く読了。ネアンデルタール人の件は刊行後に覆されつつあるので、見るべきは出アフリカが同時多発的でないことの科学的説明に至る道筋が中心。途中ポリコレ的視野に危うさを感じたが、歴史を軽視せず欧州人の95%や日本人の95%という枠組でルーツを追ったので良し。二千人に一人しか後世まで繋がらないのは、ゲノムより群れの学びと継承が重要な人類の特質ゆえだろう。2021/07/27
ふたば
8
ミトコンドリアDNAは知っていたが、こんなにも興味深い研究であることは知らなかった。人類の発生、進化、世界中にどのように広がって行ったのか。。。 現在の人類の最初の母となるべき存在にたどり着くことを可能とする研究の端緒が、有名なミイラにあったことも初めて知る事実だ。ネアンデルタール人が我々の祖先ではない事、複数の人類種が今までに存在していたこと。興味は尽きない。この手の本では珍しく、日本人についても言及されていることも興味を引く一件である。日本人のルーツについてはまだ知られていないことが多いようだ。2021/03/10
sho
3
ミトコンドリアDNAを用いて母系祖先を辿る分析手法に関する内容で、考え方や学会の論争について平易な表現で記載。ミトコンドリアDNAの突然変異という現象から、これだけ多くの先史時代の事実を導き出せるということに、遺伝学の奥深さを感じた。また、人種という括りがいかに生物学的な起源とは一致しないものなのかがよく分かった。7人の娘たちに関する描写については創作の域を出ないものの、当時の狩猟採集生活や農耕の萌芽を添えることで、自分たちの祖先(遺伝学的に証明された)への共感を持たせるという意図的な演出なのだろう。2020/07/26
jackbdc
2
タイトルにある7人とは遺伝子の関係性から筆者独自の条件付けを行いヨーロッパ人の祖先を7人と数え上げたことに依る。本書の功績は人類すべてが混血である事を明示的に解き明かすことであり、国や人種で争うことの無意味さを浮き彫りにしたこと。印象に残った点2つ、1.ゴールデンハムスター:一匹の母に辿り着くと知り驚いた。2.人類の系図:確かに人類は混血していると実感できるのだが、分岐の順番が気になる。本図ではアフリカ→アジア→欧州と表記されている。白人が一番進化が進んだ民族という誤った解釈が広まる懸念はないだろうか?2021/01/20