戦争取材と自己責任

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戦争取材と自己責任

  • ISBN:9784907623272

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内容説明

紛争地ジャーナリスト2人の共同作業で向き合う拘束事件、戦争、私たちの社会

著者の安田と藤原はともに紛争地を専門とするジャーナリストであり、友人関係にある。
3年4か月にわたってシリアの武装組織に拘束されていた安田は、「身代金が支払われた」というデマや自己責任論によって容赦ないバッシングを受け、
現在も「出国禁止」状態が続いている。
一方の藤原は、安田の安否を気遣い、トルコにも足を運び、情報収集に奔走した。
本書のための語り下ろし(対談)と書き下ろしで構成。

【著者】
安田純平
ジャーナリスト。1974年、埼玉県に生まれる。一橋大学社会学部を卒業後、信濃毎日新聞に入社し新聞記者となる。2003年よりフリーランスのジャーナリストに。記者時代の2002年から、アフガニスタンやイラク、シリアなどの紛争地を中心に取材を続けている。2015年6月、取材のためにトルコからシリアへの国境を越えたところで武装組織に拘束され、3年4か月のあいだ監禁される(2018年10月解放)。著書に『囚われのイラク』(現代人文社)、共著に『自己検証・危険地報道』(集英社新書)などがある。

藤原亮司
ジャーナリスト(ジャパンプレス所属)。1967年、大阪府に生まれる。1998年からパレスチナ問題を追っている。ほかに、シリア、イラク、ウクライナ、アフガニスタンなどの紛争地や、国内では在日コリアン、東日本大震災、原発問題などの取材を続けている。
著書に『ガザの空の下』(dZERO)、『戦争取材と自己責任』(安田純平との共著、dZERO)がある。

目次

はじめに 不寛容な社会で
第一章  解放までの三年四か月
第二章  紛争地のリアル
第三章  現在につながったできごと
第四章  生業としての紛争地ジャーナリスト
第五章  「自己責任論」と向き合う
第六章  デマ拡散時代の戦争取材
おわりに 「身代金」報道にこだわる理由

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ののまる

15
ほんと、デマを拡散して人を叩きつづける低俗メディアや匿名のSNSとか、もうウンザリする。自己責任だと言いつのるくせに自己責任は取らせない。紛争地で死んでいく人への想像力もなく、自分たちには関係ないからそんなところへ行って日本社会に迷惑かけて(実際には身代金発生してないし迷惑かかってない)と思っている遅れた島国意識は今回のコロナでも顕在化した。ジャーナリストに対するリスペクトが全くない日本では、海外ジャーナリストが命をかけ入手した情報をマスコミがコピペして流しているのに、偉そうなコメントだけペラペラ言う。2020/02/19

いなお

3
昔の右翼は若王子氏と同時期に人質となったジャーナリストを助けたらしく、隔世の感がある。人質となった人がバッシングされるの、性犯罪に巻き込まれた被害者の境遇に似てんなと思いながら読んだ。しんどい。2022/08/29

bags

2
以前帰国会見を聞いて「ネット上で言われているような人と違うのでは?」と。 紛争地へ何故現地取材をするの?という興味もあり。 自称事情通が憶測のまま垂れ流す虚偽情報がテレビ等を通じて流布される。その状況を正すには誰かが現地で見てくるしかないと。 しかし遠い地に世間の興味は少なく大手マスも過去の事故から紛争地を避け、結果厳しい経済事情に。 工夫から料理人として雇用されることで現地取材を続けた過去も。 対談形式の共著でそちらの方が更に舌鋒鋭く世間を批判しています笑。市民と国家の在り方についても考えさせられます2021/02/09

ポチ

1
読んでよかった。専門家でない人々によって憶測が真実とされてしまい、政府が身代金を支払ったというデマまでが拡散し、事実認定されてしまった安田さん。その後も多くの誹謗中傷にさらされている。大量のウソに真実が覆い隠されてしまう恐怖と理不尽が分かる。と書いているそばから「本の内容が捏造なんだろうよ」というネット民の声が聞こえてくる。2020/05/10

犬好き 悠々

1
報道の意味を考えた。どの局も同じような内容を同時刻に視聴者に伝え、独占映像等の肩書きをつけて興味をもたせる。だか、報道は個人の見解を示すものであり客観性は低い。その情報を丸飲みにしてはいけない。噛んで味わう必要がある。デモや個人情報を特定し英雄気取りの人がいる。それを楽しみに待っている人もいる。私もその一人のだった可能性もある。世界に出なければ分からないことだらけだ。それを実感するにはまだ時間がかかる。2020/03/15

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