内容説明
愛する女が他の男に抱かれると異常な悦びを覚える白鳥。脳内の友から逃れようと、酒に溺れるロック狂の逸馬。醜貌の蜂村は部長の肩書きで女を誑かしては教祖のように振る舞い、茂吉は一族の宿命に縛られる。世間から蔑まれ生きるエロ本出版社の男たちは、欲と自意識に囚われ、やがて凄まじい一撃を炸裂させる――。著者が編集者時代と決別すべく描いた、超弩級の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
61
連作「ルック・バック・イン・アンガー」下品な人が下品な内容の物事を小説にしたらこうなるのか。エロ本業界の裏や人物は興味深い。読みづらいところもあるのだが、実は元祖悪文の石原慎太郎に捧げられているからこうなったのかも。石原閣下の東京都庁に○○するとかやばいです。短編「四畳半のシェークスピア」。どちらかというと「日本のセックス」に近しい内容になっている。【「政治家・石原慎太郎」を大嫌いな人のための「作家・石原慎太郎」入門】は巻末の対談。そういえば石原慎太郎の小説読んだことないなぁと。読んでみたくなりました。2016/11/08
Kanonlicht
12
エロ本中心の出版社を舞台に4人の編集者の生き様が綴られる。出てくる人間がことごとく性道徳や倫理なんて持ち合わせていなくて、とにかくやりたい放題。著者が勤めていた出版社がモデルとのことで、さすがに全部が真実ということはないにしても、きっと似たようなことはあったんだろうなというギリギリの線でフィクションに昇華する手腕は見事。本当にどうしようもない男たちだけど、どうしようもなさすぎてカリスマ性を帯びてくるということもあるのかもしれないな。どうだろう。2022/03/30
tarou miz
8
えー、あのー、はい。 いずれまた新潮社から新作が出ますように・・ あ、なぜかこの作家の並べる単語がすっと頭に入りやすい自分に戦慄するときがたまに(笑)(*_*;2016/01/05
コンチャン
6
これは読み手を選ぶ本だと思う。かなり荒廃した街のイメージで読みました。それくらいに現実的ではないような気がする。ぶっとんでいると言えば、そんな感じ。個人的には表題作よりも、後半の「四畳半のシェークスピア」の方が入っていきやすかった。他の著作も読んでみたいと思います。2016/06/06
satoo
5
いくつか作品を読んで来たが、内容がかなり過激とは言え(過去作ももれなく過激なんだけど)、最も文学的な作品ではないかと感じた。ストーリーと言うよりは、それぞれの登場人物たちの内面描写が多く、自分と言う存在への不確実性への反動としての暴力やセックスという印象。真意はどこにあるかは分からないが、ついつい読んでしまう作者さん。2015/05/13