内容説明
東京五輪中止! そのときアスリートたちは。
新型コロナで東京五輪は延期。今、アスリートたちは夢の舞台を信じ、黙々と練習に励んでいるが、かつての日本には、夢のみならず命までも奪われたアスリートたちがいた――。
1940年に開かれる予定だった“幻の東京五輪”。活躍が期待された選手たちは、戦争一色に染まる時代の中でスポーツの晴れ舞台から去り、戦地へと送られた。有名なアスリートたちは、国威発揚のために “宣伝効果”の高い激戦地に送り込まれ、多くの者が遠く離れた地で無念の死を遂げた。
いま再び、東京五輪が混乱する中、アスリートの尊厳を奪った戦争の事実を明らかにし、彼らの激動の人生を見つめる。
2019年8月18日に放送されたNHKスペシャル「戦争と“幻のオリンピック” アスリート 知られざる闘い」の書籍化。同番組は、北島康介や長谷部誠がガイド役となり“幻の東京五輪”で活躍が期待されたアスリートたちの無念の人生を辿り、話題となった。戦地に赴いたアスリートたちが家族に宛てた手紙や遺族の証言など、番組で放送できなかった重要資料も加え、個人のエピソードを軸に、戦争とスポーツの関係を改めて問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
73
戦前ベルリンやロサンゼルスなどで開催されたオリンピック。出場したアスリートの多くが戦死していること、そしてその死を当時の軍隊が戦意高揚に使っていたことを知った。陸上やサッカー、水泳の選手にスポットをあてどのような選手だったか、戦地での様子、そして証言者のインタビューから構成されている。最近日本軍兵士や激戦地での陸軍の様子が描かれた本を読む機会があった。この本に出てくる選手もガダルカナルや硫黄島などで戦死しているもっとスポーツに打ち込みたかっただろう選手たちのことを思うと胸が痛んだ。図書館本2020/09/05
Shoji
39
1940年に開催される予定だった東京オリンピックは、世界が第二次世界大戦へと突き進む世情に巻き込まれて中止となった。挙句の戦争では、37名の邦人オリンピアンが戦死したそうだ。戦争で命を落としたオリンピアンを丁寧に取材してまとめられた一冊。私が最も心震えたのは、1936年のベルリンオリンピックで成績不振に終わった選手が、帝国国民に申し訳ないとして、その償いに志願兵となり中国戦線で散った話である。とにかく狂った時代だった。今、コロナ禍であるが、オリンピックが平和に開催できている喜びを味わいたい。2021/07/29
柔
20
スポーツとは何か?平和とか何か?今もアスリートの思いは置き去りにされている。1940年東京オリンピックは戦争に呑み込まれ返上された。そして夢半ばに多くのアスリートが戦争で死んだ。前回のベルリンで国を背負って敗北した責任から戦禍へ飛び込んだ選手もいた。スポーツは国防のためにあるべきだという方針を出した日本。「より早く、より高く、より強く」これこそがスポーツの真の精神であり、スポーツマンが人生に臨む真の姿がある。アスリートが力を発揮できる場をどうにか与えられることを強く願う。彼らに何も罪はない。2021/05/20
さんつきくん
4
1936年ベルリン五輪に出場した選手で、後の戦争で亡くなられた選手にスポットを当てた第1章と第2章。残された手紙がまた考えさせられるものがあった。日の丸を背負いプレッシャーと戦った男は戦局に散った。1940年東京五輪は戦局の悪化で中止。軍は規制し、スポーツの魅力を奪う。戦前のお家芸だった水泳。監督の松澤一鶴は抵抗した。お国のためではなく、己のために鍛え励めよ。五輪が開催されない中で、タイムを測るための記録会を開いた。その記録会に出場した人物をNHKは探し当てた。当時を知る白山勝三は貴重な証言をした。2022/04/13
時雨
4
2度目の東京五輪、その閉会式の日に読む。「スポーツマンにとってスポーツを奪われるということは、人生を奪われるということに等しかった」(5頁) 戦争と1940年大会の中止決定は、アスリート達の人生を大きくねじ曲げた。痛恨のバトンミスを償うため、自ら志願して中国戦線へ身を投じた者。「ベルリンの奇跡」で決勝点を挙げ、サッカーへの思いを宿しながらガダルカナル島で戦死した者。水泳の競技性を守る苦闘の一方で、多くの教え子を戦争で亡くした指導者もいた。彼らの無念の涙が、1964年大会の「平和の行進」実行の伏流水となる。2021/08/08
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