内容説明
酒と女と博奕で日を過ごし、小さな悪事を重ねるしがない遊び人の辰五郎は、いかさま賭博を見破ったことから、いっぱしの男として売りだすが……。風雲急を告げる幕末の江戸、世の動きとは無関係に刹那的に生きてきた男が、否応なく時代の流れに巻き込まれ、波乱の運命を辿っていく! 書き下ろし傑作時代小説。
感想・レビュー
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星落秋風五丈原
15
文庫特別書き下ろし作品。背丈は5尺に足りないのに、滅法女にモテるしがない遊び人の辰五郎には、馴染みの女・18才のおりきがいた。しかし彼女が鼻につき始めた辰五郎は賭博仲間の松倉甚太夫に「おりきを抱いてみろ」とけしかけ、家に連れてくる。一方おりきには「借金があるが、甚太夫が骨を折ってくれる」と吹き込み、二人きりにした後で、乗り込んでいく。死ぬの生きるのと大騒ぎした辰五郎に混乱し、おりきは自ら身を売る事を決意。しかしこれがケチのつき始めで、辰五郎は博打で70両という借金をこさえる。2003/09/02