内容説明
明日が今日で、今日が昨日で……。未来がどんどん遠ざかり、今という今が、次々と過去へと進む。読者よ、諸君はいま、清水義範のステキな短編を読んでいる。だが時が経つと、諸君はその短編を知る以前の諸君となり、それどころか、清水義範を知る以前の諸君となるのだ。いざ覚悟して読みたまえ。甘酸っぱくてほろ苦い、奇想溢れる、短篇9編を収録。爽やかで新鮮、ほのかに甘くほのかに苦い無類のユーモア、おかしなおかしな清水ワールド!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Our Homeisland
26
清水氏の大ファンとしては、これも、「この読書メーターでたった96人か」とがっかりさせられます。かなり時間が経っていますが、「ばからしさ」もかなりすごい、清水さんらしい短編集で「清水さんを読んだ!」という満足度の高い本でした。宇宙のものも良かったし、最後のおばあちゃんのものも良かったです。発想して本当に書いてしまうのがすごい、というのは表題作もそうでした。「もれパス係長」は、本当に自分が彼になってしまったと錯覚して「しまった!こんなことを頭の中で考えてしまった!」と暫くは現実と本の区別がつかなくなりました。2017/08/05
林 一歩
26
「神々の歌」が白眉。日本国憲法をこれほど馬鹿馬鹿しく論じた人はいないはず。珍しく、声をあげて笑ってしまった。2015/02/12
KANEO
20
SFを中心とした9編からなる短編集。著者の初期の作品が収録されている為かSFとしてはオーソドックスなものが多い。それをユーモラスに料理し、軽妙な文章で読みやすく仕上げられている。オーソドックス故にオチも大体予想がついてしまうけどそれが逆に安心感となり気楽にSFを味わうことができる楽しい短編集だと思う。好きだなあ、こういうの。『神々の歌』は笑えるし『ひとりで宇宙に』なんかも好みのテーマだけど、やっぱり感動の名作『また逢う日まで』がNo.1。何度読んでも涙が溢れちゃうよ。これ目当てに読んだようなものです。2015/04/10
かしまさ
18
清水先生久々に読んだ。1986年、まだ平成おじさんさえ出てきてない頃の作品だけどもそこまで古さは感じません。表題作はタイトルからして矛盾してるけどもそこの謎は一切解明されないまま成立してる不思議な作品。「また逢う日まで」はとてもいい話だったね。ちょうど今くらいなのかな。2021/08/29
Gamemaker_K
8
再読:本棚の整理中に読み始めて最後まで読んでしまった。初めて読んだのは大学の卒業式の翌日だった。その時、この短編集最後の「また逢う日まで」を読み、さと婆さんみたいな女性(の若いバージョン)と結婚したいなあと思ったんだったか。その願いがかなったかどうかってのはこれからの人生も含め死ぬ間際にトータルで結論を出せばよいことだっつーことなのだが。いやしかし「また逢う日まで」はいい話だ。2013/10/22